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花序をトラの尻尾に見立てた…
オカトラノオのなかま

サクラソウ科
Lysimachia clethroides
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 前項にひき続き、サクラソウ科オカトラノオ属の3種類を取り上げたい。オカトラノオといえば、6〜7月、日当たりのいい山の草原などでよく見かける花のひとつ。トラノオとは、垂れた総状花序をトラの尻尾に見立てたもので、加えて丘陵地などに生えるので「岡虎の尾」というわけ。花序は下から順に咲いていき、花冠は径1センチで5深裂。茎には短毛がまばらに生える。北海道から九州に分布。比較的見分けやすい種類だが、ほぼ同時期に花をつける似たなかまもあるので注意が必要だ。覚えておきたいのは、ヌマトラノオ(L.fortunei)とノジトラノオ(L.barystachys)の2種。
 まずヌマトラノオだが、湿地に生え、花序が垂れずにまっすぐ上向きにつくから、花さえあれば一番区別しやすい。一方、ノジトラノオは、オカトラノオと同様に花序の先が垂れるが、葉が細く、茎には開出毛が密生するので、オカトラノオと区別できる。


オカトラノオ/山梨県・三ツ峠山(左)。ヌマトラノオ/広島県・八幡湿原(中)。ノジトラノオ/神奈川県横浜市(右)。オカトラノオは葉の幅が広く、ノジトラノオは葉が細い。またオカトラノオとノジトラノオは花序の先が垂れるが、ヌマトラノオはまっすぐだ。



オカトラノオの花/新潟県上越市。蕾が回旋し、花冠が5裂するのがオカトラノオ属に共通する点。また雄しべと花冠の裂片は対生している。




  
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