海岸の岩場に生える
ハマボッス
サクラソウ科
Lysimachia mauritiana
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ハマボッスは漢字で書くと「浜払子」。払子とは、棒の先に獣毛などを束ねた禅宗の僧侶が使う仏具のこと。茎の先に白い花が咲く様子を払子に見立てたという。日本全土の海岸に分布し、岩場の隙間に根を下ろす。葉は海浜性の植物らしく厚みのある肉質で、光沢がある。また花冠は径1センチほどで、5深裂。花期は5〜6月。サクラソウ科オカトラノオ属の2年草だ。
先日、岩手県のとある海岸を訪れた時、人っ子ひとりいない静かな砂浜には、ハマヒルガオやハマナスが咲き、松林の中ではニッコウキスゲが群生していた。予想もしていなかった景観にしばらく撮影にいそしんだ。ひとしきりカメラのシャッターを切ったあと岩場の方に近づいてみると、そこにハマボッスがあった。ハマナスやハマヒルガオに比べれば、花も小さく目立たないが、青い太平洋を背景にして潮風に揺れる姿は絵になっていた。
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海岸の岩場に咲くハマボッス。岩手県山田町・漉磯海岸(上)。
果実は径5ミリほどの刮ハ。静岡県下田市・三穂ヶ崎(左)。
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