葉を団扇に見立てた
イワウチワとトクワカソウ
イワウメ科
Shortia uniflora var. kantoensis
Shortia uniflora var. orbicularis
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4〜5月、山によっては残雪が山肌に白い模様を作る頃に出会う花。イワウチワはイワウメ科イワウチワ属の多年草で、岩地に生え葉を団扇に見立てたのが名前の由来。花があれば見間違えることはないだろうが、葉が似ているイワカガミも同じイワウメ科。ただこちらはイワカガミ属という別属だ。
比較的よく知られているイワウチワに対して、トクワカソウのネームバリューはいまひとつ。トクワカソウは葉が広楕円形で、基部は円形もしくはくさび形となるのが特徴。葉は長さよりも幅が広く、基部が心形になるイワウチワと区別する。また葉が円形で4〜8センチもあるものをオオイワウチワ(var.uniflora)として分けることもある。ただ紛らわしい個体もあり、これらを区別しない見解もある。
どちらも珍しい部類には入らないと思うのだが、私にとってなぜか出会う機会が少ない花。かつて春の谷川連峰・大源太山へ登ったとき、渓流沿いにトクワカソウが咲いていたのを初めて見たあと、今年2007年までの間にイワウチワとトクワカソウを見かけたのは数えられるくらいだ。ただ今年は別々の山で2度も続けて遭遇し、一方の山では登山道沿いにたくさん咲いていた。このように普段ほとんど遭遇しないのに、年によってはなぜか別々の山で偶然連続して出会うことは、ほかの花でもある。
イワウチワ(左)とトクワカソウ(右)。淡いピンク色の花は残雪の山によく似合う。
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長野県内で見かけた微妙な個体の葉。長さよりも幅の方が広くなっているが、基部は心形にはなっておらず、両者の中間的な形態を示す。ちなみに『長野県植物誌』では両者を区別せずにイワウチワとしてのみ掲載されている。ただし学名はShortia uniflora var. orbicularisが採用されていた。
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