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節分の頃に花が咲く
セツブンソウ

キンポウゲ科
Eranthis pinnatifida
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 開花は2〜3月。旧暦の節分の頃に花が咲くことから「節分草」。カタクリなどと同じ早春季植物、いわゆるスプリング・エフェメラルのひとつで、関東〜中国地方の落葉広葉樹林の林縁や林内に生えるキンポウゲ科セツブンソウ属の多年草。石灰岩地を好むといわれ、確かに私が知るいくつかの自生地は確かに石灰岩地だが、そうでない場所にも生える。絶滅危惧U類に指定された絶滅危惧種。自生地を保護する試みが各地で行われている。
 花は径約2センチ。花弁のように見える白い部分は萼片で、本当の花弁は先が黄色い部分。果実は長さ約1センチの袋果。

 花の写真を撮るときは光が強くて影ができる晴れよりも、光が全体的にまわり込む曇りの方が適しているが、セツブンソウのように白い花を撮影する場合は特にそうだ。晴れて太陽光が花にあたると花が白く飛んだり、まわりが暗くなるが、曇りだとそんなこともなく、バランスよく撮影できる。いつも取材では快晴を期待するが、セツブンソウの撮影では予想に反して太陽が顔を出すと、「あらら、まいったなぁ」と空を見上げてがっかりする。



広島県庄原市総領のセツブンソウ自生地にて(上・下とも)






セツブンソウ。楚々とした姿が、この花の魅力だ。栃木県栃木市にて。


セツブンソウの花アップ。白いのは萼片。本当の花弁は先が黄色いY字状の部分で、密腺になっている。2裂してY字状になっていることが多いが、さらに分裂していることもあるらしい(左)。埼玉県両神村堂上の観光用に公開されている群生地。枯れ葉の上に咲く白い花なので、少しわかりにくいが、びっしりと咲いている(右)。


個性的なセツブンソウ2例。まず左は、八重咲き。栃木県栃木市。右は、花弁先端が赤色を帯びたもの。同じ自生地には、同じく赤みを帯びた花弁が縮れたものもあった。広島県庄原市総領(右)。


  
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