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花穂を矢を入れる道具・靫に見立てた
ウツボグサとタテヤマウツボグサ

シソ科
Prunella vulgaris 
subsp. asiatica
Prunella prunelliformis
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 靫(うつぼ)とは外側が皮で覆われた矢を入れる道具のことで、背負って使用した。本種の花穂がそれに似ていることから靫草と名付けられた。ウツボグサは、北海道〜九州の山野の草地や道端などに普通に見られるシソ科ウツボグサ属の多年草。6〜8月に紫色の唇形花を付けた3〜8センチの花穂を茎頂に出す。花が終わると枯れるが、そのまま立っていることから夏枯草(かこそう)とも呼ばれる。果実は漢方で利尿薬として使われる。
 これに対して本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯には、ウツボグサに似たタテヤマウツボグサが生える。名前はいうまでもなく立山に由来。花期は7〜8月。ウツボグサには対生する葉に葉柄があるが、タテヤマウツボグサには葉柄がないか、もくしは5ミリ以下とごく短い。それが一番わかりやすい相違点。見慣れれば間違うことはない。
 なおウツボグサの中で低山帯〜亜高山帯に生え、走出枝を出さず、葉柄が長さ1〜3センチのものをミヤマウツボグサ(P. vulgaris var. aleutica )として区別する見解もある。



ウツボグサ。長野県・カヤノ平高原(左)。タテヤマウツボグサ。ウツボグサよりも花が大きくて色も濃い。群馬県・谷川岳(右)。



ウツボグサは、このように群生することもある/新潟県佐渡島



  
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Nature
植物記