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寺院の軒に吊り下げる宝鐸に由来
ホウチャクソウ

ユリ科
Disporum sessile
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 垂れ下がって咲く花を寺院の宝鐸に見立てた命名。宝鐸とは仏堂や塔の四方の軒に吊り下げて飾りとする大きな風鈴のこと。ユリ科チゴユリ属の多年草で、日本全国に分布し、山林内などに生える。4〜5月、枝先に長さ2.5〜3センチの淡い緑白色の花1〜2個を垂れ下げる。果実は径約1センチの液果で、黒熟する。
 ホウチャクソウには2倍体と3倍体があり、花をつけている個体が3倍体の方が大きいほか、2倍体では花柱が花冠の外に突きだしているが、3倍体では隠れているなどの違いがあるという。また3倍体は薄暗い環境にも強いそうだ。確かに3倍体と思われる大型の株が、あまり光が差し込まないスギ人工林下に生えていたのを見たことがある。



福島県の裏磐梯高原で見かけたホウチャクソウ群落。


薄暗い環境に生える3倍体のホウチャクソウ。埼玉県東秩父村(左)。一方、陽地に生えていた2倍体のホウチャクソウ。埼玉県飯能市(右)。


花柱が花冠から突き出た2倍体の花のアップ。福島県裏磐梯高原(左)。3倍体の花のアップ(中)とその断面(右)。こちらは花柱は花冠から突き出していない。とぢらも埼玉県東秩父村にて。



  
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植物記