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紫色の花を咲かせるつる性落葉樹
フジ

マメ科
Wisteria floribunda
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 マメ科フジ属のつる性落葉樹で、本州〜九州の山野に分布する。4〜6月、緑が濃くなり始めた山で紫色の花は目立つ。ひと目でマメ科とわかる長さ1.2〜2センチの蝶形花。つる性なので、ほかの木に巻き付いて生長するが、つるの巻き方は少し前の図鑑の解説では右巻き、比較的新しい図鑑では左巻きとある。これは図鑑がいいかげんなのではなく、植物学の「右巻き・左巻き」の定義がバラバラで統一されていないのが原因。また果実はビロード状の毛が密生する長さ10〜20センチの豆果で、熟すと2裂して種子を飛ばす。
 近畿地方以西の本州〜九州には、つるの巻き方がフジとは反対になり、花が長さ2〜3センチと大きく花序が短いヤマフジ(W. barachybotrys)がある。

 子供の頃、5月になると家族や親戚と県北の山に山菜採りによく出かけていた。山菜の味は子供の口には合わなかったが、ウドとワラビはいつも山のように採れて楽しかった。そんな山菜採りの頃、フジの花も満開だったなあ。あの香りが好きで、花を見つけたら匂いを嗅ぎながら山菜を採っていたのを思い出す。



フジの花。福島県南会津町


ほかの木を覆うほどに繁茂したフジ。紫色の花は緑の中で目立つ。福島県南会津町にて(左)。つるの巻き方。福井県敦賀市(右)



  
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植物記