Nature

一種一種、植物を取り上げて、その植物にまつわる話題を写真とともに紹介します。

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植物記
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新潟・福島・山形・宮城4県に生える鮮やかな花
ヒメサユリ

ユリ科
Lilium rubellum
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 ヒメサユリは新潟県、福島県、山形県、宮城県の海岸〜亜高山帯に生えるユリ科ユリ属の多年草で、日本特産種。ほかのユリより早い6〜7月には芳香のある鮮やかな花を咲かせる。日本産のユリはいづれも美しいが、その中でもヒメサユリの鮮やかさは見事だ。ただ花色の濃淡には個体差がある。
 観光用に公開されている自生地もあり、一番有名なのは福島県南会津町の高清水自然公園。ここの主な自生地は公園から少し離れた場所にあり有料だが、満開時に訪れると思わずため息が出るほどすばらしい。昔からカヤ場として利用してきた草地で、山の斜面全体に群生しており、その中に一巡する遊歩道が作られている。
 古くから知る人の中には、「有名になりすぎて魅力が失せた」という人もいるそうだが、山間の町が地域振興として観光に頼るのは仕方ないことだろう。注目されることで自生地が荒れることもあるが、逆に注目されることで自生地を守れることもある。自生地保護などのために役に立つのなら有料なのも結構なことだ。

 そういえば2〜3年前のこと。尾瀬沼畔・長蔵小屋のすぐ近くにヒメサユリが咲いていた。南会津町に自生があるのだから尾瀬沼にあってもおかしくないのだが、見た瞬間「あれ?これ自生なのかなぁ」と疑問が浮かんだ。一応、写真に収めておいたが、帰宅して尾瀬関連の資料を調べてみると尾瀬にヒメサユリがあるとするものはひとつもなかった。例えば尾瀬関連本の中でも特に優れた資料といえる『永遠の尾瀬』(上毛新聞社)の「尾瀬産自生高等植物目録」にもヒメサユリは載っていない。もし山小屋が植えたものだとすれば、好ましいことじゃない。事実、尾瀬では昔、山小屋が植えたクレソンが増えて野生化したりしている。ヒメサユリならきれいだからいい、という問題ではない。本当のところ、どうなのだろうか。


[追記]
 後日、このページを見たという方からメールを頂き、尾瀬沼のヒメサユリは自生ではないことを教えていただいた。ヒメサユリの研究をされていた方で、ほかにも分布の南限は福島県の旧・伊南村であることや宮城県内にも自生地があることなど、いくつかの点もご教授いただいたので、早速記事の訂正および追加をしておきたい。お陰で疑問点が解決し勉強にもなった。自生でないのであれば、やはり尾瀬沼のヒメサユリは除去してほしいものだ。



福島県南会津町(旧・南郷村)の高清水自然公園に群生するヒメサユリ



高清水自然公園のヒメサユリ


新潟県魚沼市・浅草岳に咲くヒメサユリ。

  
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