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羽毛状の果実を老人の白髪に見立てた
オキナグサ

キンポウゲ科
Pulsatilla
 cernua
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 山野の草地に稀に生えるキンポウゲ科オキナグサ属の多年草。4〜5月にひとつの花茎に1個の花を下向きに咲かせる。花弁はなく、内側が暗紫赤色の6個の萼片からなる。全体に白い毛に覆われているが、名前は羽毛状の果実の様子に由来する。
 かつては珍しくない野草だったが、今や絶滅危惧種。最近はオキナグサを植えて増やす試みが各地で行われている。

 写真は、山口県美祢市・秋吉台に咲くオキナグサ。雄大なカルスト台地が延々と続く秋吉台の登山道を歩きながら左右に目を配るが、一向に見あたらない。事前に調べた情報では、このあたりにあるはずなのに。「どーしてないんだろう???」と独り言。しかし、半分諦めかけて、さらに奥へ進むと、道沿いに1株咲いていた。さらにまた1株、2株と次々に見つかる。途中、出会った登山者に聞くと、「別のルート沿いにもあったよ」という情報を教えて頂き、さらに別の登山者からも詳しい情報を聞くことができ、道から外れた場所までわざわざ案内して下さった。親切な人との出会いに感謝。



野焼きのあと、まだ炭化した草や木が点々と残る草原に咲くオキナグサ。山口県美祢市・秋吉台



花は下向きに咲くので、中は見えにくいが、持ち上げてみると、雄しべと雌しべは多数。花弁のように見えるのは萼片で、外側は白毛に覆われているが、内側は暗紫赤色。山口県美祢市・秋吉台



根生葉は2回羽状複葉で長い柄がある



2007年4月17日、広島市にある広島県緑化センター・県立緑化植物公園で撮影してきたオキナグサ(左)。もちろん植裁品だが、ちょうど見頃を迎えていた。前日地元のテレビで紹介されたばかりなのに訪問者はごく少くなく、ゆっくり堪能できた。ただシカの食害から守るためにネットで防護されていたので撮影しにくかった。また、すぐ近くにはエヒメアヤメも咲いていたが、こちらはもう終わりかけだった。右写真は、長野県内の自生地で撮影した果実。オキナグサの果実は、先端は羽毛状になったそう果で、多数が球状に集まる


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花のあと、花柱がのびて、右上写真や写真内左のような状態になるが、やがて羽毛状の毛が開いて、耳かきの先端に付いている梵天のようになる。風が吹くと、ひとつひとつのそう果が飛散する。


  
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