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栽培ダイコンが野生化したものではないらしい
ハマダイコン

アブラナ科
Raphanus sativus 
var. hortensis f. raphanistroides
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 海岸に行くと、よく見られるのがハマダイコンだ。4〜6月頃にダイコンそっくりの花を咲かせ、潮風に揺られている。昔からハマダイコンは栽培ダイコンが野生化したものといわれてきたが、どうもそうではないらしい。10年ほど前に遺伝子レベルでの比較検討が行われた結果、栽培ダイコンとは一致しないことから栽培ダイコンが逸出したものではなく、古い時代にもともとの原産地である地中海沿岸から中国を経由して人為的に入ってきた野生ダイコンが起源であるとする説が唱えられているようだ。
 栽培ダイコン野生化説の根拠は、ハマダイコンを肥料を与えて栽培したところ栽培ダイコンと同じになったことがその理由のようだが、それはあくまで見た目の話だろうから遺伝子レベルで調べた上記の結果の方がはるかに信頼性がある。現在もネットでハマダイコンを検索するとほぼすべての記事に「ダイコンが野生化したもの」として載っているが、あと10年ほどすると内容が変わっているかもしれない。

 アブラナ科ダイコン属の2年草で、日本全国の海岸に分布。栽培ダイコンとの大きな違いは、自然環境下では根が栽培ダイコンほど太くならずに堅いという。花のあとは数珠状にくびれた長さ6〜8センチの長角果が実るが、熟しても裂開しない。



山口県阿武町の海岸沿い、国道と山陰本線の間の斜面に群生するハマダイコン



花は淡紫紅色で直径2〜2.5センチ/静岡県南伊豆町・逢ヶ浜。



種子のところでくびれた果実/千葉県白浜町・野島崎。



  
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