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空中に出る根のこと
気根

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 通常の根は地中にあるので、地中根と呼ぶが、それに対して空中に出る根を気根と呼ぶ。気根を出す植物としては、イチョウやツタなどが知られる。樹齢を重ねたイチョウの古木は、幹や枝から気根を出すが、それが乳房のように見えることから「乳イチョウ」、「垂乳根のイチョウ」などと呼んで、昔は乳が出ない母親から信仰を集めたようだ。そんなイチョウが各地にあり、詰め物をした袋をふたつ乳房に見立てて幹や枝にくくりつけたり、あるいは気根を削り取って飲んだりしたという。
 またツタやキヅタは、塀に気根で張り付ついているのをよく見かけるが、このような気根を付着根と呼ぶほか、タコノキのように幹を支えるために生じる支柱根、サキシマスオウノキのようにまるで板のようになる板根、空気中の水分を吸収するために着生ランがのばす吸水根などに分けられる。


 
イチョウの気根。これはかなり長い部類に属する。山形県鶴岡市・湯田川の乳イチョウ(左)。タコノキの支柱根。茨城県フラワーパークにて(右)



  
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Nature
植物記