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果実は梨のような味!?
イワナシ

ツツジ科
Epigaea asiatica

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 イワナシは「岩梨」と書き、果実を生で食べると、梨のような味がすることから名付けられたという。味はおいしいという説と、それほどおいしくないという説がある。私は以前、一度だけ山で食べてみたことがあるが、どんな味だったか、まったく記憶にない。予想以上においしかったら記憶に残っているはずなので、おそらく可もなく不可もなくという程度だったのではないかと思う。ただ、果実の時期や生育地によって味は異なるかもしれない。

 地をはうように生育するツツジ科イワナシ属の常緑小低木で、4〜6月にピンク色の鐘形の花を咲かせるが、花はちょっとでも当たろうものなら、簡単に落ちてしまう。撮影のため少し葉の位置を変えようとして手が当たると、「しまった」と思う間もなくポロリ。人間に限らず訪花昆虫や強い風の衝撃でもとれてしまいそうで、これはイワナシにとってもデメリットだと思うのだが、果たしてどんな理由があるのだろうか。

 イワナシは山では時折見かける。花の時期でなくても、見慣れると葉だけでそれとわかる。数年前、尾瀬沼を取材した帰路、沼山峠の手前できれいな株を見つけ、しばらく撮影に専念した。それが下の写真だ。



尾瀬・沼山峠登山道沿いに咲いていたイワナシ。


果実は直径1センチの扁球形で、表面には毛が覆っている。この果実はまだ若い。長野県・志賀高原。


  
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植物記