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夏の林内に地味な緑白色の花を咲かせる
ウバユリとオオウバユリ

ユリ科
Cardiocrinum cordatum
Cardiocrinum cordatum 
var. glehnii
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 ウバユリは山の林内に生える多年草で、花の時期に葉が枯れていることが多いことから「歯(葉)がない」にかけて姥百合と名付けられたという。だが花の時期に葉が枯れて完全になくなった個体を見たことはない。確かに枯れ気味の個体は見かけるが、それどころか青々していることも多い。ほとんど葉がなくなるのは果期になってからだろう。
 一方、オオウバユリはウバユリの変種で、花が10〜20個もつき(ウバユリは数個)、高さが1〜1.5メートルもある(ウバユリの高さは0.6〜1メートル)が、中間型もあって変異は連続しているという。また花は長さ12〜17センチの緑白色で、横向きに咲く。色が地味なので、あまり注目されないが、姿が大きいので目立つ野草だ。なお果実は刮ハで、割れると膜質の翼をもつ種子を散らす。
 かつてはユリ属とされていたが、葉は茎の中部について長い柄があり、心形で網状脈なのでウバユリ属として分けるようになってきた。



北海道日高連峰・新冠林道で見かけたオオウバユリ

尾瀬ヶ原・温泉小屋付近で見かけたオオウバユリ(左)。13個もの花と蕾をつけたオオウバユリの花序。新潟県妙高市(中)。一方、花の数が少ないウバユリの花序。長野県和田村(右)。


オオウバユリの花(左)。蕾(中左)。ウバユリの若い果実(中右)と熟して割れた果実(右)。




  
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植物記