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犬連れ登山を考える

犬連れ登山者を山で見かけたら
どう対応する?

犬連れ登山の問題点をきちんと説明する

 たとえ、そこが犬連れ登山禁止になっていなくても、まずは冷静に犬連れ登山の問題点を説明するのが基本。それが基本には違いないが、そうもいっていられない面もある。というのも説明すれば理解してくれる相手ばかりではないからだ。彼らの中には、確かに犬連れ登山の問題点を知らないだけで説明すれば理解してくれる人もいるだろうが、わかっていても無視して犬連れ登山を続ける、つまり「野生動物がどうなろうと知ったことじゃない」という、かなり頭のおかしい人々が結構いることに私も次第に気づくようになった。まさか、と思うかもしれないが、事実だ。


犬連れ登山者は、動物好きの愛犬家。動物が好きな人というのは、心優しい人が多い。そんな人だから、きっと常識もあり、自然を大切にしたい思いもあるはず


 こんな先入観や幻想をお持ちなら、今すぐに捨てよう。犬連れ登山者の言動を観察していれば、例外がいくらでもあることがわかる。彼らの頭の中の優先順位は、要は「 自分>犬>自然 」なんだよ。冷静に説明しても簡単に受け入れるような相手ではない、と初めからケンカごしで対応する人さえいる。私は、その考え方も理解する。そういう対応もやむなし、ということだ。
 さて、一応、冷静に説明したい人のために犬連れ登山に問題がある理由をまとめておこう。



犬連れ登山は、なぜ問題なのか

1野生動物に対するリスク
 仮にワクチン等により健康管理をしている犬であっても、犬が潜在的に保有する病原体が野生動物に感染し流行すると、野生動物の大量死や希少動物が絶滅に至るほどの事態になる可能性が専門家から指摘されている。これは動物によって病原体に対する感受性が異なるため、犬では問題がなくても野生動物では死に至ることがあるためだ。ワクチンを接種すれば犬の身体から野生動物に危険を及ぼす病原体がゼロになるわけではなく、また「人間と犬は同じ環境で生活しているから同じ細菌とウィルスを持っており、だから人間が問題ないのなら犬も問題ない」という意見は、おバカ極まりない素人の勝手な解釈である。専門家は、人間よりも犬の方が、野生動物に対するリスクは高いと判断している。
 また犬連れ登山禁止看板がないのは、地元行政が専門家に依頼して野生動物の種類や生息状況などを調査し、その上で犬を連れ込んでも問題ないとして犬連れ登山禁止看板を設置していないのではなく、ほとんどの山では何の調査もしていないのが実情なのだ。ゆえに現時点では、犬連れ登山禁止看板がないからといって犬連れ登山をしても問題がないとはいえない。高山帯さえ除けば、あとは問題ない、というのも都合のいい勝手な解釈。高山帯以外にも注意が必要な場合もあり得るわけで、高山帯と市街地の間のどこに線を引くべきかというのは専門家にしか判断できない。現状は、その判断が行われていない段階であるにも関わらず、生態系のことも感染症のことも何も知らない、ど素人である犬連れ登山者が、勝手に「ここは問題ない」と判断していること自体極めて問題がある。
 そもそも希少動物は雷鳥やオコジョ以外にも多数存在し、その動物と犬由来の病原体との関係について詳細に確認されているわけではないし、希少動物以外の野生動物も絶滅に至らないまでも注意しなければならないという意味では同じなのだ。
 もし、これがあとから対策してもリセットできるような問題であれば、現状でも構わないかもしれない。しかし自然界の中に、それまで存在していなかった犬由来の病原体が一旦拡散すると、これをリセットするのは不可能であり、そうなると野生動物への脅威が常態化・深刻化する可能性もある。これこそ犬連れ登山問題が、あとからでもリセットできるゴミ問題や大気汚染問題とは、根本的に違うところである。野生動物が脅威にさらされることと、ただの少数派の趣味を比較すれば、どちらを優先すべきか、答えはひとつである。

2犬に対するリスク
 逆に野生動物から犬に病原体が感染する可能性もあり、安易に連れ込むのは危険と証言する専門家もいる。同様の視点から問題視する指摘もあり、例えば、東京都立の自然公園施設である「山のふるさと村」は、公式サイトの「はじめてQ&A」の中で、「自然環境の中にいるタヌキやキツネなどのイヌ科の野生動物と飼い犬では、共通の感染症(疥癬など)がありますので、舗装していないネイチャートレイルなどでの散歩は控えた方が賢明です」と説明している。またネット上で、ある愛犬家が、自分の飼い犬に疥癬が感染したことを書いていたが、その治療費は総額20万円にもなったという。
 こんなことをいうと、感染経路が特定されているわけではない、という反論も聞こえてきそうだが、現実に野生動物と犬の両方に感染する病原体が存在する以上、感染経路が特定されていようといまいと、野生動物の生息地に犬を持ち込む機会が多くなれば、それだけ双方にとってリスクが増大するのは間違いない。それでも無視して犬を山に連れ込むというのは、野生動物に対するリスクだけでなく、自分の愛犬に対するリスクすら無視しているということであり、こんな連中に愛犬家を名乗る資格があるのか大いに疑問である。自然よりも犬よりも自分の欲求を何よりも優先することを宣言しているに等しいわけだが、ご本人は、そういう構図になっていることすらも理解しておらず、それでも常識人面して偉そうなことをいっているのはお笑い以外の何ものでもない。まったくバカほど困ったものはないのである。

 加えて登山中、人間はUV対策ができても、犬にはできない。紫外線は直接降り注ぐ分だけでなく地面からの反射も無視できないといわれるが、犬の場合は、人間のように風景を見るために顔を上げる機会も少なく、ひたすら数m先の地面を見続けながら歩くことが多く、地面から反射される紫外線を目に受ける時間は人間より長いと思われる。しかも目の位置は人間よりも地面に近いわけだから、ダメージを受けやすい。
 お間抜けトンデモ団体として有名な日本アウトドア犬協会の河本勝昭事務局長の愛犬は、紫外線被曝量が多い山をさんざん連れ回されて白内障になったそうな。自分のエゴが愛犬の白内障につながっても反省の色なし。要は愛犬家というわけでもなくて、タダの自己中としか思えない。犬にサングラスをかけさせるバカも出てきそうだが、そもそも人間と違って頭部が前後に長い犬の場合は、サングラスの隙間から入り込んでくる紫外線量も多い。その結果、白内障にかかるリスクは、やはり人間よりも高いと考えるべきだろう。今後、エゴ丸出しの犬連れ登山者の愛犬が、紫外線にさらされ続けて白内障にかかる事例は増えるんじゃないか。犬連れ登山者には自業自得だが、犬は気の毒だねぇ。バカな飼い主に巡り会ったために目が濁っちゃってさ。うーん、泣けてくるねぇ(笑)。

3人に対するリスクと条例違反
 ノーリードの犬に驚き、危険な岩場などで登山者が転倒するなどのリスクも十分あり得る。先日、フジテレビの番組で石川弘樹というトレイルランナーの練習風景が取り上げられていた。どこの山か不明だが、練習する時は愛犬と一緒というわけで、ノーリードの犬とともにかなりのスピードで一般登山道を走っていた。そもそも犬はオンリードがマナーの基本であり、放し飼いを条例で禁止している自治体もある(例えば、神奈川県の場合は「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例」で禁止されている。参考→神奈川県のサイト該当ページ)。このバカは、普段自宅近くの鎌倉周辺の山道で練習しているとのことだったので、明らかに神奈川県の条例に反する。マナーどころか、条例違反をテレビで宣言するのにも呆れるが、あれほどのスピードで一般登山者も利用する登山道を我が物顔で走っており、危険極まりない。いくら優秀な成績を収めていても、この石川弘樹という人物は社会人としての資格はない。それを何の疑問にも思わず放送するフジテレビの見識も程度が知れる。
 これと同様に日本アウトドア犬協会の河本勝昭事務局長も「基本はノーリード」と宣言しており、横浜に居住していることからすると、これも明らかに神奈川県の条例に反する。日本アウトドア犬協会は、トップが条例違反を宣言するトンデモ団体であり、しかも、トップはノーリードを宣言しておきながら、その一方で会員にはオンリードを求めているのである。このどこがまともな団体といえるのか。
 犬連れ登山の場合も同様に、人身に対する危険が指摘されている。犬がいても驚くことはない、と思うかもしれないが、ケースバイケースだろう。そもそも犬がいるとは思わない場面で、いきなり犬が飛び出してきたら、誰でもびっくりするはずだ。犬が苦手な人なら、なおさらである。もしそこが不安定な岩場だったら、どうする?
 例えば、山梨市の西沢渓谷では、「動物嫌いの子どもが(犬に)おびえて足を滑らせ、滑落しそうになった」という苦情も寄せられ、市では「西沢渓谷の登山道は、狭い場所が多くあり、ペット同伴での登山は大変危険」として、ペット同伴の渓谷散策を控えるように呼びかけている。参考→山梨市のサイト該当ページ

4犬の存在自体が迷惑
 世の中には犬が苦手な人、嫌いな人もいる。市街地の広い道では、たとえ犬に出会っても避けて通ることもできるが、狭い登山道ではそれも不可能。「うちの犬はおとなしいから」といっても、その犬の普段の性格を知らない他者には見た目から判断できない。
 かなり昔の話だが、ノーリードの犬に山で出会ったことがある。ほかの登山者にも飛びついたりする愛想のいい犬で、私にも立ち上がって、じゃれてきた。私の腹部にかけられた前足は泥まみれ。その結果、私の服は泥で汚れた。私は犬嫌いというわけではないが、はっきりいって不愉快だった。それを見ていた飼い主は、驚くことに目を細めて笑っているだけ。私は何もいわなかったが、この飼い主、みなさんはどう思う? 無神経にも程があると思わないか。自分は愛犬の足の泥がついても平気かもしれない。でも他者にとっては普通は迷惑な話である。犬連れ登山者に限らず、愛犬家というのは自分を客観的に見ることができない人が多い。ほぼ共通して、みんな犬好きだと思っている呆れた人たちである。
 






説明する余裕がなければシカトしよう

 登山道上で、上記のような説明をするのは時間もかかり、しかも相手は犬連れ登山の問題点をなんとしても理解したくないのが本音の「困った連中」。屁理屈やピンボケ反論などをして抵抗することも考えられる。その相手をするのがイヤなら、最低限シカトしよう。挨拶されても、道を尋ねられても無視するのだ。自分たちの欲求を続けるためなら野生動物が死のうが知ったことじゃない、という登山界のゴミ、人間のクズとしかいえない連中を、ほかの一般登山者と同列に扱う必要は一切ない。そもそも同列に扱えば、ますます彼らは勘違いする。自分たちの欲求を押し通しても、一般登山者は犬連れ登山に寛容であり、我々は受け入れられていると。
 こんなことをいうと、「無視するなんてよくない」という反対意見をいう人が、必ず出てくるだろう(絶対確実です・笑)。でも、この手の「論理回路が停まっている」人も、私にいわせれば犬連れ登山者に準じるほどの「困った人」としかいいようがない。私も無視するのがいいことだとは思わない。しかし、これはやむを得ない選択なのだ。ふたつの要素を比較してみよう。


  1.犬連れ登山者を無視すること
  2.野生動物に対する脅威を無視して犬連れ登山を続けること


 さぁ、あなたの、ずっと停まったままの論理回路を久々に働かせてよく考えてみよう。果たして、どちらが優先すべき、より重大なことだろうか。犬連れ登山者を無視しても、彼らが不愉快な思いをするだけだが、一方、野生動物に対する脅威を無視することは、それとは比較にならないくらいの大問題に発展する可能性がある。彼らが不愉快な思いをして、次第に山に足が向かなくなれば、野生動物への脅威が確実に減るだろう。どちらが重要か、いくら論理回路が停まっていても「犬連れ登山者を無視すること」よりも「野生動物の脅威を無視すること」の方がはるかに重大問題だってことくらい理解できるよね。ほかに即効性が期待できる手段が少ない中、こういう手段もやむを得ないと考える。犬連れ登山者の立場も理解しようと普通に接してばかりいて、その結果、さらに犬連れ登山者が増えて希少野生動物が絶滅したら、どうするつもりだよ? 「無視するのはよくない」という人は、この質問にぜひ答えていただきたい。
 そもそも、この手の人は、所詮、この問題を解決しようという意識のかけらもないくせに口だけは出す「困った人」。「いや、私はこういう方法で解決を目指す」という意見があって実行しているのなら、まだしもだが、あたかも冷静な常識人面して口だけは出す、でも自分は何もしない、という無責任な人たちなのだ。挨拶を無視することには反対意見をいうのに、それよりも重大な野生動物に対する脅威を無視している犬連れ登山者には何もいわない。彼らの頭の中では、このことが矛盾せずに成立しているんだぜ。 な、どう考えても論理回路が停まってるだろ。
 極論だが、こういうことだよ。通行人を襲おうとしている通り魔に気づき、猛アタックをして突き飛ばしたら、それを見ていた人が、通り魔の方じゃなくて突き飛ばした人に「暴力はよくない」と注意するようなものなのだ。それほどトンチンカンな意見だってことだよ。こう説明すれば、いくら論理回路が停まったままの方にも理解できるのでは?(笑)。






最悪なのは「あら〜、かわいいワンちゃん」

 いるいる、この手のアホって。で、いわれた犬連れ登山者もうれしそうに「当然だよ」という顔をしている。どこまでバカなんだろうねぇ〜。土佐犬とか一部の犬種を除いて、ほぼすべての犬というのは、「かわいい」部類に入る。ブサイクな犬でも、「ブサかわいい」とはいえるだろう。見るだけで不愉快になる醜悪な面構えの犬なんて見たことあるだろうか。つまり、女性に「美人」だとか、「かわいい」と賛辞を送るのと違って、どの犬にも当てはまる話だ。どの犬にも当てはまることいわれて、どうしてうれしいのだろうか。あなたは気づいていないだろうけど、「あら〜、かわいいワンちゃん」なんてことをいう暇人は、どの犬にも同じこといってるんだよ。
 もともと図々しい犬連れ登山者が、「やっぱり、みんなも犬が好きなんだ(どういう勘違いだよ)」って、ますますつけ上がるだけだから、こんな暇ついでのようなことはやめよう。その弊害がどれほどのものか、少しは休みっぱなしの頭を働かせて考えてね。






マナーの悪い犬連れ登山者を見かけたら、手間を惜しまず行政に苦情を!

 犬連れ登山者はみんなマナーがいいなんて、現場を知らない人の勝手な幻想である。こんな幻想も今すぐに捨てよう。2009年5月11日付け朝日新聞東京本社版の読者投稿が載る「声」欄には、高尾山から陣馬山に続く登山道で犬連れハイカーが、犬の糞を放置している様を目撃し、怒りを通り越して悲しくなった、という投書が掲載されていた。確実にいるだろうと思っていたが、「やっぱりいた」わけだ。糞をきちんと処理すれば野生動物への危険は低下するといっても、このように実際に山で糞を放置している人がいるわけだから、この言い訳にはまったく説得力がない。犬連れ登山者を見かけて真似する人が、犬連れ登山の問題点をきちんと理解した上で確実にマナーを守るとは限らない。現に住宅地では、犬の糞が道端に放置されていることが多いではないか。それなのに、なぜ山では、みんなマナーを守ると思うのだろうか。最悪、野生動物が絶滅する可能性があるようなことを犬連れ登山者のマナーだけに頼るのはあまりに危険だろう。「自分さえ糞を処理すれば問題ない」という犬連れ登山者は、この質問にぜひ答えていただきたい。


 私自身が目撃したマナーの悪い犬連れ登山者については、また別途紹介するつもりだが、こういう現場を目撃したら、とにかく手間を惜しまずに行政に苦情することだ。電話でも構わないが、行政のホームページに各担当課のメールアドレスも掲載されているので、メールで苦情する方法も可能だ。送り先としては観光課や商工観光課のような観光関係を担当する部署がよいだろう。ほかに管轄の環境省地方事務所やビジターセンター、森林管理署などがあれば、それぞれ苦情メールをしておこう。行政は苦情には敏感だ。こうした地道な取り組みが、犬連れ登山禁止措置につながる。もちろん新聞・雑誌への投書、あるいはネット上に書き込むのもアリだ。とにかく大切なのは、見たことを自分の中の記憶だけにとどめないこと。




ペット禁止の山でなくても山の有害ゴミ(=犬連れ登山者)を見かけたら、ぜひ顔がわかるように撮影して、ネット上でそのバカ面を晒そう。

 たとえペット禁止の山でなくても山で犬連れ登山者を見かけたら、そのバカ面がわかるように撮影して「有害人物」としてネット上に晒そう。また犬連れ登山自体を迷惑に感じたら、ぜひ行政に意見しておこう。特に彼らの迷惑行為を証拠として写真や動画で撮影するのも大変有効である。ノーリードで登山道を駆け回る犬、静かな山で無駄吠えをしている犬、狭い登山道をわが物顔で犬を連れて歩いている人など、ぜひ撮影しておき、苦情メールの際に添付すれば説得力が増す。今後、なんらかの事態が発生した場合に責任を追及する意味においても、証拠写真を撮影しておく必要がある。






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