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単なる粒状の粉じゃない
チョウの鱗粉
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 チョウを捕獲して翅を触ると指先に鱗粉が付くことは、昆虫採集したことがある人ならみんな知っていると思う。でも鱗粉は粒状ではなく、文字通り鱗状の形をしていて、それが瓦のように整然と翅の表面を覆っていることはあまり知られていないようだ。ベースとなる翅の表面には、それぞれの鱗粉の基部がはまるソケットがあって、ソケットと鱗粉はひとつの細胞から分裂して作られるという。鱗粉には撥水性があり、空気抵抗を下げる働きがあるともいわれている。

 大学生の頃にもクローズアップ撮影をしたこともあり、鱗粉に関して多少の知識はあったが、最近になって改めて撮影してみたいと考えていた。そんな折、雨が降った翌朝に実家の菜園でじっとしているアゲハチョウを発見。早速、捕虫網でそっと捕獲して撮影したのが、以下の写真だ。鱗粉の先は、ギザギザになっているので、花びらのようにも見える。色違いの鱗粉が、チョウの模様を作っていることも、この写真からわかるだろう。それにしてもこれほどの微細にして美しい構造になっていることに驚かずにはいられない。うーん、やっぱり生物のしくみは感動的である。



黄、青、黒などの色違いの鱗粉が覆うアゲハチョウの翅表面。まるでモザイク絵画のように模様が作られている



 
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Nature
動物記