Nature

山で出会った動物について話題や体験談を紹介します。ここでは昆虫類や両生類なども含めて動物全般を広く扱います。

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動物記
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木道をうまく利用していた
キセキレイ
Motacilla cinerea
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 尾瀬ヶ原のヨッピ橋分岐から牛首に向かう途中、並行する隣の木道から何かが飛び立ち、少し先でまた木道に降りた。よく見るとキセキレイだった。どうやら私が近づくまで木道の草陰にいたようなのだが、まったく気づかなかった。
 しばらく立ち止まって観察してみると、そのキセキレイは木道を歩きながら、左右に目をやり、虫を見つけた瞬間、サササッとそちらに向かい、あっという間に捕まえていた。そして木道の上に一旦、捕まえた虫を置いて確認してから飲み込み、再び木道を歩いて餌を探す…という行動を繰り返していた。上空から探すよりも木道を歩いて探す方が、餌を見つけやすいことを学習しているように見受けられた。

 キセキレイは、セキレイ科の野鳥で、以前、実家にも飛来したことがあり、警戒心が強く、ちょっとした異音にも鋭く反応していたのが印象に残っているが、尾瀬のそれは、場所柄なのか、それほど警戒していないように感じた。私は3〜7メートルという至近距離から見ていたのだが、ほとんど気にせず餌を探していた。もちろん、それを超えて近づくと飛んで逃げていたが…。

 ところでその個体は、右目が健常ではないようだった。外傷性なのか先天性なのか、少なくとも外見上、眼球が見えないのだ。それでも多少なりとも視力があるのか、完全に失明しているのかは不明だが、いずれにせよ遠近感が得にくいのは間違いないはずで、それは餌の捕獲でも支障があることを意味している。ところが、そんなハンディキャップを物ともせずに上手に捕っていた。
 こうして牛首に向かう途中、しばらくキセキレイの餌取り行動をたっぷり観察できたわけだ。私の前をトコトコ歩いて餌を探し、近づきすぎるとさっと飛び立ちどこかへ行ってしまったと思っていると、いつの間にか目の前にいて、やはり私の前をトコトコ歩いていた。それらはすべて同一個体だった。ほかの個体でも同様に木道を利用しているのかどうか不明だが、ひょっとすると、そういう自らのハンディキャップを埋めるべく、木道を利用する術を自然と身につけたとも考えられる。

 それにしても大自然の中で生きていく上で、視力のハンディは大きいばすだが、偶然出会ったキセキレイの逞しい姿にうれしくなった。がんばれ!! 片目のキセキレイくん。遠い空の下で、君の安泰を祈ってるよ。




私の前に現れて、餌探し行動を見せてくれた尾瀬ヶ原のキセキレイ。喉が黒いので♂と思われる


 
@私が後から何度もシャッターを切っているにも関わらず、それを気にもとめずに木道をトコトコ歩いて餌を探す(左)。A餌を見つけた途端、サッと近づき草むらに首を突っ込む(右)。


 
B再び顔を出したら、獲物のクモをくわえていた。ところが、このまま飲み込むことはしないようだ(左)。C捕まえたばかりのクモを一旦、木道の上に置いて確認しているところ。再度じっくりよく見て、食べられるかどうか判断しているのだろうか。つまり場合によっては食べないことがあるのかもしれない(右)。


 
この個体の頭部アップ。右目の眼球がないように見える。一瞬目をつぶったわけではなく、常にこの状態だった(左)。飛び立つ瞬間、姿勢を低くしたところ(右)。


以下3点NEW

積雪があった翌日に飛来したキセキレイ♀。広島市。以下2点も同じ。








 
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