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日本最小のトンボ
ハッチョウトンボ
Nannophya pygmaea
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 日本最小のトンボで、体長はオスで20ミリ、メスで18ミリほどしかなく、普通のトンボを見慣れていると、そのかわいらしい姿にちょっと感動する。湿原や湿地、放棄水田のような環境を好み、5〜9月頃に水草の先にとまる姿を目にできる。
 私は全国に点在する相当数の湿原・湿地を訪ねているが、お恥ずかしながらこれまで一度も見たことがなかった。…いや、もしかすると一度や二度、どこかで見ているかもしれないが、昆虫類にはまったく関心がない時期が長かったので、よく覚えていないのだ(今もそれほど興味を持っているわけでもないが)。

 先日(2012年7月)、愛知県の湿地に立ち寄ると、何か小さなものが飛んでいるのに気がついた。よくよく見るとハッチョウトンボではないか! うーん、確かに小さい。これは何としても、きちんとカメラに収めたいと車に三脚を取りに戻り、180ミリマクロに2倍テレコンバーターを付けて連写する。この日は、雨が降ったり止んだりの天気で、湿地にいる間も何度となくパラパラと雨が降ったが、カメラとレンズの上にタオルを置いて雨除けにし、自分は雨に濡れながら撮影を続けた。そんな天候なので、やや光量不足だったが、ハッチョウトンボは草の先にとまると、しばらくじっとしているので助かった。
 ただ、付近にいたのはすべてオスだったようだ。真っ赤なのがオスだろうと私でも想像はついたのだが、メスだとばかり思っていた黄褐色のハッチョウトンボは、すべて赤くなる前の未成熟のオスだという事実があとで判明。メスは茶褐色で、腹部に黄と黒の横縞が入るらしい。いや、そういうのはいなかったぞ。すべてのメスがご不在だったとはねぇ〜。いや、よく探せばいたのに気づかなかっただけなのかなぁ。今度、どこかでメスの写真を撮影して追加したい!



愛知県田原市、県の天然記念物に指定されている黒河湿地で撮影したハッチョウトンボ(成熟した♂)。実に鮮やかな紅色である


メスだとばかり思っていた未成熟のオス。ところでハッチョウトンボは、草にとまる時に翅を前方に向ける性質があるようだ。おそらく少しでも重心が前に来る方が脚に負担がかからないからだろう。



 
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