Nature
動物記
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屋久島の森に棲む鮮やかな甲虫
ヤクシマルリセンチコガネ
Geotrupes auratus yaku
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 屋久島は植物だけでなく、ほかの生物相も大変興味深いところで、例えば昆虫にも屋久島の名前を冠した種類がいくつもある。そのひとつが、ヤクシマルリセンチコガネ。分類上は、オオセンチコガネ(北海道〜九州にも分布)とされ、亜種にはなっていないようだが、屋久島特有の色をしているために、こう呼ばれているそうだ。
 私が見かけたのは、太忠岳登山道でのこと。山頂目指して息を切らせながら登っていると、登山道上にきれいな虫がぽつんといるのに気づいた。よく見ると体表面は金属光沢がある鮮やかな青緑色をしており、昆虫にはあまり興味がない私ですら、迷わずデジカメを取りだし何カットも撮影したほど。いうまでもないが、その時点では名前はわからず、あとで調べて判明した。
 糞虫のなかまなので、ヤクシカの糞を巣穴に持ち込み、幼虫の餌にするらしいが、それにしても何と美しい色であることか。もともとオオセンチコガネには、地方により色違いがあるようだが、屋久島特有の色が生じたのは何が原因だったのか。生物の色について考察すると、きっとおもしろいはず。進化の巧みさに感心することがたくさんあると思う。



屋久島・太忠岳登山道で見かけたヤクシマルリセンチコガネ



 
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