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身近な昆虫だが、実は種類もたくさん
アリ
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 アリは、どこにでもいる昆虫である。そこいらの地面に目をやれば、必ずといっていいほどアリがいる。一番よく目にするのはクロオオアリだろうか。一方、山では見たこともない珍しいアリに出会うこともある。動きがせわしないのでカメラに収めようとしたことはないが、デジカメなら無駄を気にせずにいくらでもシャッターを切れるから、今度見かけた時は挑戦してみたい。日本には何と262種類ものアリがいるそうだから、地域や環境が変われば違う種類がいるのは当然なのだが、確かにいろいろ変わったのがいるんだよなぁ。

 ちなみに実家の庭にも5〜6種類くらいアリがいるけど、時々家の中に進入してくるので迷惑な存在くらいの認識しかなく、アリの種類まで調べようと思ったことは一度もない。この間、実家で接写の被写体を探していたら、菜園に咲いていたゴーヤの花に一匹の小さなアリがいるのを見つけた。蜜を嗅ぎつけたのだろう。花の中でウロウロしている。これなら撮影しやすいと思ってカメラを向けてみた。撮影後、パソコン画面上に広げてみると、結構いい感じに写っていたが、さてこれ何てアリだろう。ネットで検索すると詳しいサイトもあって、それらで調べた結果、おそらくアシナガアリではないかと思うが、何しろアリについての知識はゼロに等しい。自信はない。
 でも、こうして拡大してみるとアリの体表には花粉がいっぱい付着していることもわかる。人間の知らないところでゴーヤの結実に寄与してくれていたってわけか。実家で食べたゴーヤが大きく育ったのも、実はこのちっぽけなアリのお蔭だったのかも…。
 ところで、アリの生態で最も感心するのが、その嗅覚。アリの行動エリアから、遠く離れた部屋の中の、さらに戸棚の中に置いてある砂糖やお菓子を嗅ぎつけたりする。また、そんな離れた場所から迷わず正確に帰巣できる能力にも驚く。あれほど小さな身体だが、実に高度な能力が備わっている。

 以前、都内に住んでいた頃、菓子か何かを嗅ぎつけられ、いつの間にかアリが床の上に列を作っていたことがあった。困ってしまい列の真ん中あたりのアリをティシュでつぶした。するとどうだろう。それまで整然と並んで移動していたのに、その前後のアリたちは一転して動きがせわしくなって方々に散り始め、明らかにパニックに陥っている様子だった。つまり、なかまの体液の臭いを感知して、「体液の臭いがする=なかまが天敵に襲われた=危険な状態」と認識したということではないか。もしそうだとすると、それを認識できるくらいの知能があるということなのか。それとも、これも遺伝的に組み込まれた「本能」のようなものなのだろうか。だが、そもそもDNAというのは、4つの塩基配列の組み合わせによって特定のアミノ酸が決定されると学校では教えられてきた。たとえDNAにはそれ以外の情報も多く含まれているとしても、たかが4つの塩基配列の組み合わせによって本能や生態のような高度な内容が正確に次世代に伝えられるものなのか、疑問に感じる。他に何らかの未知の情報継承手段があるのではないか。
 アリは、なぜあのような行動をとったのか。アリの生態を研究している人に意見を聞いてみたいものである。




ゴーヤの花にやってきたアシナガアリ?。小さなアリだが、よく見ると精緻な姿形をしている

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カラスノエンドウの葉柄上で咬み合いのケンカをしているクロヤマアリ



蜜をなめるクロヤマアリ


同じくクロヤマアリ



 
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