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餌をねだりに近づいてくる
徳沢のキジバト
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 奥上高地の徳沢は、上高地バスターミナルから徒歩で約2時間。山小屋の徳澤園や徳沢ロッジがあり、ハルニレ林が広がる気持ちのいい場所だ。ここ近年、何度か徳沢を訪れる度に「餌くれくれ」オーラ全開のキジバトが迎えてくれる。昔からそうなのか、近年になってからか知らないが、とにかくすごいのだ。

 日帰りの取材では徳沢で昼食時となる。ベンチに座って弁当を食べていると、必ずどこからともなくキジバトがやってきて、目の前を何度も行ったり来たり、別のキジバトが近づくと威嚇して追い出したり。ある時は、手をさっとのばそうものなら簡単に首根っこを押さえつけられそうなほど近くまで来て「ボクはここにいるよ。エサくれないの」という視線を送ってくる。しっかりアピールの仕方を心得ているので笑ってしまった。

 しかも弁当をザックから取り出すやいなや、両目の視線が私の手元に注がれ、ちゃっかり餌であることを確認して、いつくれるかとソワソワ…。上高地では大正池などで、やはり人間に近づいてくるマガモやオシドリが何羽もいるから、何も餌目当てなのは徳沢のキジバトに限ったことではないが、餌に対する執着がすごいので、取り上げてみた次第。徳沢の厳しい環境で生きていくのは大変だろうし、ちょっぴり同情もするけど餌はあげられないんだよね。ごめんね、キジバトさん。


 
徳沢のベンチでお弁当を食べていたら、わずか数十センチ先のテーブルの隅にまでやってきたキジバト。餌をやらないでいると、しばらく待ったあと諦めて立ち去った(左)。大正池の畔で、ベンチで休憩している観光客に近づくオシドリの♀。ちなみに、この男性は手を出しただけで餌は与えていない(右)


 
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