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比婆山のクリに穴を開けていた
クリシギゾウムシ
Curculio sikkimensis
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 先日(2006年10月13日)に訪れた広島県・比婆山の登山道にはクリがいっぱい。その中のひとつを拾い上げると、表面に小さなゾウムシらしき虫がつかまっているのに気づいた。クリ…何とかゾウムシっていうんじゃなかったっけ。似たなかまにツバキの実に産卵するツバキシギゾウムシっていうのがいるのは知っていたので、確かクリに産卵するのは、クリが名前に付いていたと漠然と記憶していたのだ。帰宅してネットで調べて、クリシギゾウムシという正式名称が判明。頭に浮かんだ名前はおおよそ合っていたな。

 こいつは、長い口吻でクリの実に穴を開け、開けたら身体を反転させて、その穴に産卵管を差し込んで卵を産む。私が見つけたのは、その穴を開けている真っ最中だったのだ。だが撮影しやすい場所に置こうと少しの間持ち歩いたが、その間、じっとしたまま。逃げようにも口を差し込んでいるので逃げられないのだろうか。

 道端の明るい石の上に置き、コンパクトデジカメを接写モードにして撮影。体長は1センチにも満たない小さな虫なのだが、こうして見ると足をふんばって一生懸命穴を開けてる。拾ったクリに穴が開いているとがっかりするが、彼らにしてみればクリは産卵の場所というたけでなく、幼虫の食料ともなる大事なもの。せっかくのクリに穴なんか開けるなよ、といいたいが、「人間がクリを食べることなど、知ったことか」と反論されそう。


 


長い口吻がシギのくちばしに似ているので、「栗鴫象虫」の名前があるという。クリのほか、アラカシやシラカシなどの果実に産卵することもあるそうだ。



 
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