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立山・美女平で遭遇
線形動物の一種?

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 先日2006年9月1日、取材のため訪れた立山・美女平で、見たこともない生物に遭遇。美女平は立山杉やブナなどがうっそうと茂る森で、その中を遊歩道が一巡している。その途中の沢にそれはいた。最初は植物の根かと思った。だが、くるくると巻いたような状態で、根にしては形がおかしい。何らかの生物ではないかと近づいて見ていると、やっぱり! う、動いている。肉眼で観察しただけだが、体表は白くスベスベしており、植物の根にそっくり。しかし、枝で身体の中心部分を持ち上げると、特に動いているわけでもないのに、スルスルと頭部らしき方に向かって滑り出したので、もしかすると繊毛のようなものがあるのかもしれない。
 再び地面に戻すと写真のように広がり、ミミズよりもゆっくりとしたスピードで移動し始めた。おそらく頭部と思われる進行方向の先端を、まるでヘビが鎌首を持ち上げるようにして地面に当てたり離したりを繰り返していた。この生物の長さは20数センチほどで、身体の径は約1ミリ程度。触ってはいないが、枝で持ち上げた時の様子からは、ミミズのようなやわらかさではなく、植物の根に近いものの、それよりかはやわらかい感じに見えた。
 さて、これはいったい何だろう。この手の生物の図鑑はないので不明だが、例えばハリガネムシのような線形動物の一種ではないかと思うのだが、どうだろう。手元の『岩波生物学辞典』で調べると、環形動物には多数の体節があるとあり、一方線形動物には細長糸状をなし、体節はまっくないとあるのがその理由だが、なにしろ調べようがないので名称などは不明だ。

 そういえば中学生の時、自宅近くの貯水池に、黒色線状の長さ30センチほどの生物がいて、友人と「学校の生物の先生に見せよう」ということになり捕獲してビニール袋に入れ、翌日見せたことがあった。当時の担任は若い女性の生物の先生だったが、先生もわからず、もう一人いた年配の生物の先生にも聞いてくれたようだ。はっきりと記憶していないが、確か環形動物の一種ではないかということだったと思う。それは多数の体節らしきものがあり、少し固いヒモのような感じだった。あれも何だったんだろう。名前が知りたいが、線形動物や環形動物を研究している人っているのだろうか。そういえば寄生虫も線形動物だよなぁ。寄生虫の研究者は当然いるだろうけど。世の中にはいろいろな生き物がいるわ、ホント。



美女平で見かけた謎の生物“X”。写真向かって右側が頭部らしい。そういっても、どっちが頭でどっちがお尻でも大きな違いはないか。


見つけた時と木の枝で持ち上げた時の様子。



 
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動物記