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巣から落ちてしまったよう
ツバメのヒナ

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 今日2006年7月21日、近所の本屋に行くために玄関を開けたところ、玄関前のエントランスに黒っぽい紙がぐちゃぐちゃに丸めて捨てられていた。何のゴミだ?と思いながら、近づいてよく見てみるとゴミじゃなくて鳥のヒナだったのでびっくり。いったいどこから来たのだろう。まわりを見回すと、2階の屋根の下にツバメが巣を作り、親鳥がエサを運んでいるのを発見。そんなところに巣を作っているとは全然知らなかった。おそらくそこから落ちてしまったのだろう。
 巣には5〜6羽のヒナが並んでいるのが下から見えた。だが彼らは親鳥が運んでくるエサを獲得するのに必死で、落ちてしまった兄弟ヒナのことなどまるで無関心。一方、親鳥の方も1羽だけ落ちてしまったことに気づいていないのか。それとも巣から落ちたヒナは生存競争に負けたということで無視しているのか。こちらもエサ運びに夢中のようだ。
 本屋から帰って来て、どうしようかとヒナを前に散々考えてしまった。高い場所にある巣に戻すことはできないし、かといってヒナを育てるのは不可能。そもそもそういうことに人間が手を貸すのがいいことなのかどうか、という問題でもある。野鳥のヒナが巣から落ちていても拾ってはいけない、というのが大原則だ。梅雨時の、ちょっと肌寒い気温にブルブルに身体を震わせるヒナを前に心が揺れた。だが、やはりどうすることもできない。結局、そのままドアを閉めた。う〜ん、かわいそうだけど何もしてやれない…。

 ツバメのヒナといえば最近、箱根の老舗ホテルが、看板の設置工事に伴って複数のツバメの巣をヒナともどもゴミとして処分してしまったことがニュースになったばかり。鳥獣保護の法律に違反しているばかりか動物愛護の観点から非難が集中して一転平謝り。ホテルのサイトには「燕の巣撤去に関するお詫び」なる謝罪文も掲載されている。どういう経緯でそんなことになったのか知らないが、やはり残酷だなぁ、という感想を持たずにいられないし、巣とヒナをゴミとして撤去することに何も感じないホテルに宿泊したいとは思わない。だが、この事件と巣から落ちたヒナは同列ではないのだ。そこを勘違いしてはいけない。
 さて、このヒナのその後だが、近所の人が気づいて保護したようだ。保護するといってもどうしたのかは不明。残酷なようだが、やはりそれは好ましいことではない。でも、ちょっぴりホッとしたのも本音なのだが…。


玄関前にいたツバメのヒナ。目をそっと開けて私を見つけると、小さな声で鳴いた。何とかしてやりたいが、それはできないんだよ。ごめんね。


 
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