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主旨は同じだが、その文言はいろいろ
サルの餌付け禁止看板

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 野生ザルへの餌付けによって各地でさまざまな被害が発生していることは、すでにご存じのことと思う。例えば観光客が投げ与えるエサにより人間の食べ物に味をしめて人家に侵入したり、農作物を荒らしたり、という具合。その被害がひどかった栃木県日光市では「餌付け禁止条例」まで作られたほどだ。どこも対策には頭を痛めていて、やむを得ず射殺という最終手段をとらざるを得なくなっている場合もある。つまり餌付けというのは一見、野生動物への優しさのように見えて、結果的に彼らにとってもプラスには働かないものなのである。しかも人間の側も経済的被害を受けるだけでなく襲われてケガをすることもあり、ただただ地元が長年にわたって苦労するだけ、という不毛な結果しか生まない。本来、奥山のサルは人間とはある一定の距離を置く。それがサルとして自然な姿なのであり、人家に侵入して食べ物を失敬するような「歪んだ」行動をするサルを作り出したのは、誰あろう人間自身だ。
 そんなこともあってサルの害が深刻化している場所では、観光客や登山客に対して周知を計るため餌付け禁止看板を設置している。その看板を比較すると、それぞれ文言に工夫がこらされていることを感じさせる。私が近年見かけたサルの餌付け禁止看板を比較してみたい。


要点を短くわかりやすくまとめた看板。長野県軽井沢町・離山(左)。文は実に短いが、インパクトはあるかも。栃木県藤原町・龍王峡(右)。


地元の苦労を詳しく訴えかけるもの。鹿児島県屋久町・西部林道(左)。イラストで目を惹こうと工夫されたもの。群馬県下仁田町・妙義山(右)。



ニホンザルの生態や餌付けの問題点を詳しく説明する妙高市の看板。


栃木県那須塩原市・塩原渓谷(左)と埼玉県秩父市・国道140号の出合の丘(右)。



 
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動物記