Nature

山で出会った動物について話題や体験談を紹介します。ここでは昆虫類や両生類なども含めて動物全般を広く扱います。

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動物記
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これまでにキジバトやコゲラが
庭の木に巣をかけた鳥たち1

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 広島の実家では、これまでキジバト、コゲラ、ヒヨドリが庭の木に巣をかけたことがある。どの鳥もどこにでもいる種類なので珍しくもないが、それでも身近に鳥が巣を作ると、やはり巣立ちの時まで気になるものである。
 キジバトは私が小学生の時で、ヒナのうち1羽が巣から落ちてしまった。巣に戻すこともできず飼育しようとしたが、うまくいかずに死んでしまった。続いてコゲラは大学生のとき。今はもうないが、当時庭にあった大きなポプラに穴をあけて巣を作った。ちょうど大学が春休み期間だったので、帰省中に観察していると、およそ30分おきに親鳥が交代でエサを探しに行くようだった。ある時、1時間たっても一方が戻って来ないことがあった。留守番している方は、しきりに巣から顔を出して外を見ることを繰り返している。明らかに普段とは違う行動で、なかなか戻ってこないのを心配しているように見えた。しばらくして出かけていた方が戻ってきた。さえずりあう二羽はまるで「遅かったね。心配したんだから」「ごめんごめん。なかなかエサが見つからなくて」とでも会話しているようだった。30分おきに交代している時は見られなかったさえずりあいに、鳥たちにも家族を思う心があって、それは人間と変わらないのかもしれないと感じた。

 さて続いて巣を作ったのはヒヨドリ。これは今年の夏のことだ。裏庭には高さ6メートルほどの恐羅漢山産(広島県の最高峰で「おそらかんざん」と読む)のブナがある。これは地元で民宿を営む知人から両親がもらい受けた苗木が大きく育ったものなのだが、そこにヒヨドリが巣をかけたのだ。家から数メートルしか離れておらず、すぐ下を頻繁に家の者が通っているにもかかわらずにである。人間の生活圏に近い方が、逆に天敵に狙われにくいというメリットがあるからだろうか。それまで、キーキーうるさい鳥という印象しかなかったが、雨の日も風の日もじっと耐えて卵を暖める姿に、ヒヨドリの印象が少し変わった。
 その後、私は秦野の自宅に戻ったので、巣立ちの様子は見れなかったが、母からのちに聞くと、さらに感動することがあったという。巣に親鳥の姿が見えなくなり心配していたころ、家の裏に置いてあったゴミ入れと壁の隙間に、なんとヒナがいたというのだ。母が箒か何かを取ろうとした時に、隠れていたヒナが慌てて出てきた。おそらく、その直前に巣立ちしたのだろう。母が手で拾い上げようとするとしきりに口を開けてエサをねだるので、家に戻りエサを与えようとすると、親鳥が近くの枝からすごい剣幕で鳴き、母の胸元をかすめるように飛んできたそうだ。すぐにヒナは親鳥のいる枝に飛び移ったらしく、おそらくその後は近くの森にでも親鳥とともに移動したと思われるが、それにしてもヒナを守ろうとする親鳥の姿に母は感動したといっていた。

 最近の子供虐待のニュースを聞くにつれ、よほど動物の方がまともな親心をもっているとするのは、言い過ぎだろうか。凶暴そうに見えるワニですら、子ワニが危険にさらされて声を上げると、子供の親でなくても大人のワニが助けに行く習性があるそうだ。自分の子供でも虐待して殺すこともある人間とどちらがまともだろうか。確かに人間の場合は複雑な背景があるものの、両者を比較して考えさせられる。




ポプラに巣を作ったコゲラ。胸のあたりに巣の穴がちょっとだけ見える(左)。ブナにかけた巣の中で卵を暖めるヒヨドリの親鳥(右)。下に人間がいると、ほとんど微動だにせずにじっとしていたのも印象的だった。

 
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