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毎年夏になるとわが家の様子を見に来る珍客
オニヤンマ

Anotogaster sieboldii
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 広島の実家では、毎年夏になると決まってやってくる珍客がいる。それはトンボの一種・オニヤンマだ。夏、居間のガラス戸を全開にしておくと、オニヤンマがどこからともなくやってきてホバリングしながら中の様子を観察して行くのである。来ない日もあるが、やってくる割合は結構高くて、多い時は1時間近く繰り返し訪問を受けることもある。
 最近は様子を見るだけでは飽き足らないらしく、部屋の中にまで入って来て、テレビや扇風機にアタックしたり、部屋にいる家の者の前でホバリングしながら観察したりすることもある。いったい何がそうさせているのか不明。テレビの音や光が珍しいのかと思ったりしたが、テレビを付けてない時もやってくるから、それが原因でもなさそう。考えられるのは、この個体がオスだとすれば、電源を切っている時のテレビ画面や窓ガラスに映る自分の姿をメスとでも思って近づくとか、逆に同じオスだと思ってテリトリー(オニヤンマに縄張り意識があるかないかは知らない)を主張しているとか、そんな風にも想像した。だが、ガラス戸を閉めていると、その前でしばらくホバリングしたあと飽きらめて飛び去っていったこともあった。それからすれば、ガラス戸に映る自分の姿に関心があるわけでもなさそうだ。 
 このオニヤンマくん。実はわが家への訪問が始まったのは私が小学校低学年のころからなのだ。ちょうど頻繁にやってくるようになる少し前、家の中に迷いこんで窓ガラスの前で右往左往していたオニヤンマを見つけて逃がしてやったことがあり、当時は子供心に「きっと助けてやったお礼に来ているのだ」と信じていた。
 だが、それ以来、オニヤンマの訪問は夏の慣例になった。もちろん毎年同じ個体が来ているはずはないから、何らかの習性によるのだろうが、オニヤンマは好奇心が強いのか、それとも何か興味をひくものがあるのか、今のところ理由は不明だ。オニヤンマって、家によくやってくるものなのだろうか。


 
居間にやってきたオニヤンマ。ホバリングしながら中の様子を伺っている。右写真のようにアップ写真が撮れるほど、ホバリングを続けることも。この写真を改めて見ていて気づいたが、トンボが飛んでいるときは、だらしなく足を出しているわけではなくて、ちゃんと空気抵抗が少なくなるように折り畳んでいるのか。知らなかったなぁ。

【追記】2010年来訪のオニヤンマくん

上記記事を書いたあとも例外なく毎年夏になると来訪。今年もやはり部屋を覗きにやってきたので、早速モデルになってもらった。顔のアップ(左)。本当は頭を上にしてぶらさがっている(右)のだが、この方がわかりやすいので、敢えて90度回転させてみた。顔を10センチくらい近づけて観察しても逃げないので、こんな風に接写も可能となったわけ。普通は近づいただけですぐに逃げるのに。どう考えても写真を撮ってほしかったとしか思えないなー(笑)。



 
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