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自動車に轢かれて死にたくはなかろうに
動物の死体

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 動物の死体を山で見ることはほとんどない。当然、ケガや病気などで死亡する動物はいるわけだが、人目につかない場所で静かにほかの動物や昆虫などによって処理され骨だけになっているのだろう。先日、白神山地のある遊歩道でのこと。カモシカの頭骨が、道端にゴロリところがっていた。あったのは頭骨だけでそれ以外の骨はなかったから、近くのヤブの中にあった白骨化した死体から頭骨だけを誰かが持ち出して来たのだろう。しかし、こういうものを山で見る機会は意外に少ない。

 皮肉なことだが、むしろ動物の死体を目にする機会が多いのは車道上である。都市部でもネコの礫死体はよく見かける。イヌはつながれているが、ネコはそうではないからだろう。山間部の車道では、タヌキ、アナグマなどの死体を見たことがある。一昨年だったか。長野県南部の三遠南信自動車道を通ったとき、カモシカと思われる大型獣の礫死体が道路わきにあった。何の動物かわからないほどの状態で、おそらく一度だけではなく何度もトラックなどに轢かれたのだろう。ちょうど真夏のことで、その後、道路管理者が処理したのだろうけど、そんな礫死体を処理するのも大変だろうなと同情した。

 最近は少しずつではあるが、道路の下にトンネルを作り、そこを動物が通れるようにするなど、野生動物の自動車事故を減らすための対策も始まりつつある。そういう配慮が当然となる日が早く来ることを願う。何が起こったのかわからないうちにあの世に旅立った彼ら。人間として、このような事態がなるべく起こらないようにしてやりたいものだ。




観光客のなにげない「餌やり」も、こういう被害を増やす一因だ。ひき殺されたキタキツネ(北海道小清水町)


白神山地で見かけたカモシカの頭骨(左)。一方、自動車にはねられたアナグマ(広島県芸北町・中)とタヌキ(青森県東通村・右)の死体


ニホンイタチ(富山県立山町)


ニホンイタチ(北海道八雲町)


ヤマシギ(北海道神恵内村)


頭部から大量出血して死んでいたタヌキ。あまりに生々しいので、モザイク処理した(千葉県大多喜町) 








 
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Nature
動物記