以前、ネット上で見た意見です。「捕鯨をやめるとクジラが増えすぎて、彼らが捕食する魚の生息数が減ってしまい生態系のバランスが崩れる」という捕鯨関係機関の主張に対して、「しかしクジラは捕鯨が行われていなかった千年以上前から海にいたが、それでも生態系のバランスは保たれていたのではないか。ならば捕鯨をやめれば生態系のバランスが崩れるというのはおかしい」という反論が書き込まれていました。なんとなく正論みたいに聞こえますが、みなさんはどう感じたでしょうか。
 私は、生態系への影響評価としては問題があると思います。なぜなら現在は、漁業という海洋生態系への大きな負荷が、千年前とは比較にならないほど増大している点を完全に見落としているからです。

 千年前も人類は海で魚を捕って食料にしていました。おそらく個人的な食料確保という要素も大きくて、漁業といっても遙かに小規模であり、しかも世界中の人口も少なかったはずです。従って人類が食料として魚を捕獲することによる海洋生態系への影響は現在よりも断然少なかったと考えられます。その頃は、クジラの数は今よりも多かったと思われ、当然、彼らは大量の魚を食べていましたが、魚の繁殖力との間にバランスが取れており、問題はなかったのでしょう。
 ところが、地球の人口は年々増加し、それに伴って需要も増大して大量の魚が捕獲されています。もし、世界中の国々が今後、漁業を一切しないのであれば、捕鯨をやめても海洋生態系のバランスは保てるかもしれません。でも、現実は無理な話ですから漁業によって大きく減っている魚の数に見合ったクジラの数にするべく、ある程度、人間が管理するしかないと私は思います。それは特定の魚を定期的に休漁にしたり、人工魚礁を作ったりして魚の数を増やすのと同様に、そんな管理手段のひとつとして捕鯨を用いても差し支えないというわけです。

 私はシーシェパードのような団体は頭がイカれているとしか思っていませんが、かといって捕鯨推進派というわけでもありません。絶滅のおそれがあれば、クジラだろうと何だろうと保護すべきなのは当たり前の話です。ただ、生態系というのは様々な要素が複雑に絡み合っていますから、クジラだけに視点を置いても無意味です。つまりクジラが増えすぎれば、クジラによって捕食される魚の生息数は減ってしまい、やはり種類によっては絶滅の恐れが生じると考えられるからです。また海洋哺乳類保護というのはアメリカなどの反捕鯨国によって政治カードとして都合よく利用されているところが問題なのであって、シーシェパードが主張しているような表面的な視点だけで感情的に判断すべきではありません。

 
              
 

Nature
これって正しい?
雑記帳

第19話

クジラは千年以上前から海にいて、捕鯨をしなくても生態系のバランスは保たれていた