昨年(2010年)、友人とのメールで話題になったことを思い出しましたので、今日は、この話をしたいと思います。どちらが先かわからない喩えとしてよく使われるフレーズですが、この答えを考えてみましょう。

 ニワトリが先…。いや、でもそのニワトリは卵から生まれたわけだし…。うーん、どっちなんだろう…。これは永遠に答えが出ない哲学的な問いかけだ…なんて思っていませんか。悩んでしまうのは、どちらか一方が答えだと思い込んでいるからでしょうね。つまり、世界のあらゆるものは造物主である神が作ったとするキリスト教的世界観みたいなもので、最初に神が作ったのは、卵だったのかニワトリだったのか、ってわけです。
 でも、仮にキリスト教的世界観に立って考えてみると、答えは割と簡単に出ます。一番最初のニワトリも、現在のニワトリと同じような性質をもつという前提であれば「ニワトリの可能性が高い」と考えざるを得ません。なぜなら、もし卵が先であれば温める役目を担うものが存在しないので、孵すことができない(子孫を残せない)からです。ニワトリが先に作られたと考えると、卵を産み、さらに温めて孵せますから子孫を残すことができます。

 さて、そんな空想の話は置いといて、そろそろ答えを教えましょう。生物学的にいえば、「卵が先か、ニワトリが先か」の正解は「どちらでもない」となります。これは、生物の進化を考えれば、すぐにわかります。
 ニワトリは卵から生まれたのはいうまでもありませんが、その卵を産んだニワトリ、さらにその卵を産んだニワトリ…とどんどん遡れます。しかし、ニワトリは人間にとって都合よく品種改良された家禽ですから、その元になった野生種がいたはずです。つまり、ニワトリを何代にもわたって遡れば、やがて野生鳥類にたどり着くことになります。
 この調子で、さらに遡ってみましょう。ニワトリの祖先である野生鳥類の、はるか前は鳥類に分化する前の爬虫類となり、さらに遡れば両生類にたどり着き、もっともっと遡れば単細胞生物にまで達するわけです。このように脈々と続いてきた生命の流れは、一度も途切れることなく続いているので、現在、地球上に存在するすべての生物を遡れば、必ず原始的な生物にまで遡ることができるわけです。
 単細胞生物の生殖方法は、主に分裂ですから、「卵かニワトリか」の問いかけは、進化の過程の中で卵生から、もっと単純な方法に変わってしまうことによって、問いかけの前提自体が消滅してしまうことになります。こうして考えると、「卵が先でもなければ、ニワトリが先でもない」という答えになることが、わかると思います。

 
              
 

Nature
うさおノート
雑記帳

「卵が先か、ニワトリが先か…」
 答えはどちら?

第7話