政治家やどこかの組織の幹部が、記者から「もし、これこれこういう事態になった場合はどう責任とるんですか」みたいに、特に答えに窮する質問をされたときにしばしば発する逃げ口上です。
 仮定の話には答えちゃダメって、いつ誰が決めたんでしょうか? そういう法律が知らないうちに作られたんですか? どんな場合だって仮定に対して、「もし、そうなったら、こうするしかない」とか、「こういう対応が考えられる」とか、いくらでもいえるはずです。
 仮定を立てて判断するのは、誰だって普段から当たり前のようにしていますよね。自宅が火事になったとしたら…という仮定の上で、その対策として火災保険に入ったり、消火器を買ったりするわけですが、仮定のことに答えられないのなら、火事や地震に備えることもできません。
 おそらく本来は、「仮定を前提として、どんな判断をするか答えたり、あるいは対応の選択肢を挙げることはできるが、仮定前提を無視して決定事項であるかのように記事にされてしまう可能性や、仮定前提であることが記事の中できちんと明記されていても読者が誤解する可能性があるから、その影響を考慮すると危なくって答えられない」ということなんでしょう。そこを飛び越えて、「仮定の話に答えられないのは、社会通念のひとつ」とか、「じゃ私も誰かから仮定の質問をされても答えなくてもいいんだ」と勘違いしないようにしましょうね。
 でも、そういうわけでもなく単なる逃げ口上として使われる場合もよくあるようです。いわれた記者も、なんだかよくわかんないけど、なんとなく正論に聞こえるのか、黙っちゃってます。そこで引き下がらないで、「仮定の話には、なぜ答えられないのか、わかりやすく説明して下さい」と、さらに食い下がればいいのにって私なんかは思います。
 
 
 

Nature
これって正しい?
雑記帳

第1話

「仮定の話にはお答えできません」