Nature

File No.034
柚子搾り器 改良編

 6年前に製作して以来、毎年冬になると実家で使い続けてきた「柚子搾り器」。本サイトの紹介ページも秋から冬にかけてアクセスが増加。そんな柚子搾り器だが、その後、改良したので紹介しておきたい。

 改良前の柚子搾り器は、手で杵に圧力をかけて柚子から果汁を搾り取る方法。しかし、これでは柚子の量が多い場合は体力的にかなり厳しい。そこで、もっと楽に搾りたいと考えるようになり、そこで思いついたのが「足で圧搾できないか」ということだった。いろいろ思案し、実際にホームセンターや東急ハンズで部材を物色し、ようやくひとつの方法にたどり着いた。

 これまでは、臼の中で潰した柚子の搾りかすは、手で取り除いていたのだが、これも手間がかかる。そこで臼の中にあった高さ1センチの台を削り取り、さらにステンレス製のザルを置けるように少し底を削った。つまり、ザルの中で柚子を潰し、臼からザルごと搾りかすを取り除ければ簡単なはず。搾りかす入れもステンレス製ボールの上に大きくて丸いステンレス製のザルを置いて、この上にまとめておくようにした。そうすれば、搾りかすが貯まっていく間もザルを通して果汁を集めることができる。ちなみにステンレス製にしたのは、スダチのように酸が強い果汁も圧搾することを考えてのことである。プラスチック製や鉄製が好ましくないのはいうまでもない。

 ザルはいいものがなかなか見つからなかった。結局、東急ハンズで見つけたステンレス製排水口トラップを採用。周囲だけ網状で底は小さな穴が開いたステンレス板だったが、平坦なので丈夫そうだし、大きさも臼に合いそう。底の穴はドリルで広げて果汁が流れ出やすくした。

 次にザルの内径に合うように杵の先端に円盤状の板を取り付け、効率よく圧力をかけられるようにした。ところが、杵の上げ下げの時に円盤が、ザルに接触することが判明。これでは使い物にならない。そこで杵の方に「関節」を付ける方法で解決。関節の部分は、かなり緩い状態にしておき、杵を上げ下げしても円盤自体の重さで常に下を向くようにした。これでザルに接触することもなくなった。さらに臼に取り外し可能な「樋」をつけ、臼も裏からネジで固定できるようにした。

 使い方は、杵の棒の末端に新たに取り付けたペダルに右足を載せて、全体重をかけて柚子をつぶし果汁を搾り取る。その時、左足を杵の支柱上部に載せると、搾り器全体が固定され安定して作業しやすい。同じくらいの高さの台を隣に置いておくと、1回ごとの圧搾作業が終わる度に台に移れるので足が楽だ。

 作業は、@ザルに柚子を入れ、そのザルを臼内にセット。A上げておいた杵をザル内に下ろす。B足で体重をかけて果汁を搾り出す。C搾り作業が終わると杵を上げて、臼からザルごと外し搾りかすを捨てる。Dそのザルに次の柚子を入れて臼内にセットする…の繰り返し。Bの作業をする人、B以外の作業をする人と役割分担して2人で進めると、手で搾っていた時に比べて圧倒的に楽で早くなった。

 足で全体重をかけるので、手よりも高い圧力をかけられる。そのため柚子やシークワーサーのような比較的小さな柑橘では、一度に3〜4個を搾れるようになった。ただ、少し大きいスダチは、やはり1個ずつでないと無理なようだ。

 実は杵の棒にバネを付けて、踏んだあとに杵が自然に上へ戻るようにしようとか、ペダルをサンダル状にして、足をひっかけて杵を上げられるようにしようとか、いろいろ案を練ったが、バネは最適なものが手に入らず、構造的製作的にもやっかい。またペダルをサンダル状にすると、万一作業中にころびそうになった時に危険と考え、最終的にはどちらも見送った。


 
改良した柚子搾り器。臼内にセットしてあるのが、ステンレス製のザル(排水口トラップを流用)。新たに杵に関節と円盤状の板を、また臼に樋を取り付けた。

 
少し上から見た写真。杵の棒には右足を載せるペダルを取り付けた。

 
柚子搾り作業中の写真。1回ごとの圧搾作業を終える度に白い台に移れば杵の棒も上げやすいし足も疲れにくい。中央が搾りたての柚子果汁。その隣は搾りかすを貯めておくステンレス製ザルとボール。













 

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