Nature

私が取材先で体験したこと、感じたことなどを好き勝手に書いたものです。

植物記
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取材はいつも車中泊


 私は普段の取材では宿泊施設は一切使わない。ほとんどすべて車中泊である。無駄な費用を使いたくないのが第一の理由だが、もうひとつはその「動きやすさ」にある。自然相手の取材というのは不確定要素がつきまとう。つまり天気に左右され、予定通りにいかないことが多いのだ。私の場合、夕方の天気予報次第では予定を覆して、遠方の取材地まで夜の高速をすっ飛ばして向かうこともあるし、あるいは取材をあきらめて帰宅することもある。こんな状況で宿泊先をあらかじめ予約することはまず無理な話だし、取材を終えたあと飛び込みで宿を探すのも苦痛極まりない。しかも宿でゆっくり休んで翌朝8時9時に朝食をとって、いざ出発というのでは十分な取材はできない。
 最近はありがたいことにどんな田舎でも、車で足をのばせる範囲に日帰り入浴施設やコンビニがある。さらに道の駅みたいな施設も結構あちこちに整備されている。こういう環境下では車中泊は一切気にならない。むしろその方が自由があっていいし、何よりも次の取材地の近くで一泊すれば効率的に取材がこなせるというものだ。
 車中泊で困ったことといえば稀に警察官に職務質問されるくらいなものだ。これまで2度遭遇しただけだが、寝ているところを起こされるし、こちらの側から云えば迷惑な話である。
 車中泊する場所は、防犯上は道の駅のような場所がいいに決まっている。しかし道の駅は長距離トラックお決まりのアイドリングや若者たちの夜間スケートボード練習の「ガラガラガラガラ…」(ボードが転がる音)とそれに続く「パン」(ジャンプして着地する音)が連続してうるさいので、ひと気のない場所で寝ることも多い。そんな場所に他県ナンバーとくれば怪しいと思うのは当然だろう。そこで懐中電灯で中を見られた挙げ句に起こされて免許証の提示を求められる。だが、これまでのところ特別、不愉快な思いをしたことはない。どの警察官も対応は丁寧で、ちゃんと説明すればわかってくれたからである。だが前日は1日動き回って疲れ果て、翌朝も早起きの予定で熟睡していたら深夜に起こされる。ちょっと勘弁してほしい…というのがホンネだ。どこかの警察署長の承認印を押した「ひと気のない場所車中泊許可書」みたいなものを張り付けておけばOKっていうことにならないかなぁ。しかし怪しい車がいても「職務質問するのは面倒だからいいや」というような警察官は困るわけだし、それはそれで警察がちゃんと目を光らせている証拠でもあるわけだから、ま、仕方ないか。
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