Nature
山岳記
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場違いな重機 北アルプス・上高地

撮影年月日:2006年5月31日

 先月、奥上高地・徳沢の河原で見かけたショベルカー。そこらの河川敷なら別に違和感はないが、徳沢の河原となると随分異様な存在に見えてしまう。一瞬、「どうやってここまで運んだのだろう」という疑問が頭をよぎった。私のように一般のハイカーは明神〜徳沢間の梓川左岸にのびる遊歩道を歩いてくるしかないから、そう感じたのだが、よく考えてみると右岸には治山林道がのびているから、そこをトレーラーに載せて運んだものと想像される。でも徳沢までは比較的平坦だが狭い林道。それなりに大変だったろうな。
 上高地でも河川改修が必要なのはわかるが、以前から梓川の護岸工事には「やり過ぎ」の批判の声があったのも事実。本当のところ、どうなんだろう。近年も新たに蛇篭(金網の中に石をつめてブロック状にしたもので、普通のコンクリートブロックよりも景観上は少しマシだが)できれいに護岸され直された明神橋一帯の川岸を見るにつけ、幾ばくかの疑問の念も感じざるを得ないのだが…。


徳沢の河原で見たショベルカー。工事の間だけとはいえ景観ぶち壊しだ(左)。明神橋のたもとに整備された蛇篭の護岸と、それに沿って、まっすぐに流れる梓川。洪水対策としてやむを得ずというのならまだしも、もしこれを「美しい」と思うのなら、その美的センスを疑う。直線や直角の構造だけを美しいと感じるのはまさに土建屋の発想だろう。背後は六百山(右)。



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