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ミヤマカタバミとよく似ている
コミヤマカタバミ
カタバミ科
Oxalis acetosella

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 カタバミ科カタバミ属の多年草で、深山の湿った針葉樹林下に生える。北海道から九州、さらには屋久島まで分布するが、なぜか中国地方には分布していない。世界的にはヨーロッパからアジアまで広範囲に見られる。

 細長い地下茎で広がり、群生することも多い。ほかのカタバミのなかまと同様に長い葉柄をもつ3小葉数個を出し、小葉は長さ2~3センチで、角は丸みがあり、雨の日や夜間には下向きに閉じる。6~8月、直径2~3センチの白色で時に脈が淡紅紫色の花を咲かせる。花弁基部には黄班があり、雄しべは長短5個ずつ、計10個。花弁が淡紅紫色をしたものをベニバナコミヤマカタバミ( f. ionantha )として区別することもある。

 ミヤマカタバミ(O. griffithii )とよく似ており、判断に迷う個体もある。以下に区別点をまとめておいた。



新潟県妙高市。笹ヶ峰の対岸にある夢見平で撮影したコミヤマカタバミ。ここのものは花弁基部の黄斑がやや目立たなかった。早い時間帯だったせいか、小葉が閉じている。



上高地の下白沢の押し出しで見かけたコミヤマカタバミ。ちなみに上高地にはミヤマカタバミも分布している。


◆各地で撮影したコミヤマカタバミ

↓群馬県片品村・奥白根山で撮影。花弁基部の黄斑がよく目立っている。



↑長野県南相木村・天狗山。黄斑。淡紅紫色の脈。小葉角の丸み。すべてコミヤマカタバミの特徴を示す。

↓長野県木島平村・カヤノ平。この個体は花弁の幅が広い。



↑長野県小谷村・栂池自然園。この個体は黄斑が目立たないが、ほかの特徴は合致している。

↓奈良県上北山村・大台ヶ原。カヤノ平の個体同様に花弁が幅広。




↑福島県檜枝岐村・尾瀬御池で撮影したベニバナコミヤマカタバミ。長野県と新潟県にまたがる斑尾高原でもよく見かける。



◆コミヤマカタバミとミヤマカタバミの区別点

   コミヤマカタバミ  ミヤマカタバミ
 分布   北海道、本州(中国地方除く)、四国、九州  本州東北地方南部以南、四国、九州
 花期  6~8月  3~5月
 自生地  深山の針葉樹林内  山地の林内
 花弁基部の黄班  目立つ  目立たない もしくはない
 雄しべ  長短各5個  10個とも同長?
   多くはない  葉裏に密生
 小葉の角  丸い  尖り気味。ただし同一個体でも丸いものと尖り気味のものが混在することがある
 私が過去に見かけた場所  奥白根山、カヤノ平、尾瀬、上高地、妙高・夢見平など  尾瀬、鳥海山中腹、広島・臥竜山、広島・比婆山など 





判断に迷う例。これは岡山県西粟倉村・若杉原生林で20年前の5月上旬に撮影した写真。花弁基部の黄斑は明瞭で小葉の角は丸く、コミヤマカタバミと同定しそうになるが、雄しべは同長で分布域からも外れており、ミヤマカタバミの可能性も否定できない。生育環境から考えればミヤマカタバミと思われるが、今でもどちらか決めかねる個体である。



  
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