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秋には塩性湿地を深紅色に染める
アッケシソウ(サンゴソウ)
アカザ科
Salicornia europaea

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  アカザ科アッケシソウ属の1年草。明治24年に北海道厚岸町厚岸湖の牡蠣島で発見されたことに因む名前だが、その後、秋になると鮮やかな紅色に変化することからサンゴソウという名前も提唱され、今ではどちらの名称も定着している。標準和名はアッケシソウ。
 ヨーロッパや北アメリカなどにも広く分布し、国内では北海道のほか、中国・四国地方でも見られる。海の干満によって海水をかぶる塩性湿地に生育する塩生植物である。環境省レッドデータでは絶滅危惧Ⅰ類に指定。

 高さは10~30センチほど。肉質の茎には節があり、枝と葉が対生するが、葉は鱗片状に退化している。8~9月に上部の節に花を3個ずつ付ける。
 
 本種の自生地としては、北海道網走市・能取湖南岸にある卯原内の群落が最も有名。昔はもっと広大な範囲に自生していたらしいが、埋め立てで規模が縮小。それでもほかの自生地と比べればはるかに広く、秋の紅葉期には20万人が訪れる名所として知られる。一方、岡山県浅口市・寄島干拓地の自生地も近年、よく知られるようになった。発見されたのは、意外にも新しくて2003年。その後、市の天然記念物に指定されている。



夏のアッケシソウ。北海道湧別町・サロマ湖畔 鶴沼の自生地。



鮮やかな深紅色に色づいたアッケシソウ。北海道網走市・能取湖 卯原内の自生地にて。



国内最大規模を誇る北海道網走市・能取湖 卯原内の自生地。



  
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植物記