8〜9月の湿原でよく見かける
イワショウブ
ユリ科
Tofieldia japonica
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本州鳥取県以北、山地帯〜亜高山帯の湿原に分布するユリ科チシマゼキショウ属の多年草。名前に「イワ」とあるが、岩場に生えることはなく、むしろ晩夏の湿原を代表する花である。「イワ」の由来が、本当に「岩」にあるとしたら完全に生育地を誤認した名称、もしくは別の由来なのであれば、極めて紛らわしい名称といわざるを得ない。ちなみに「ショウブ」は、葉の形がショウブに似ていることに因む。花は8〜9月、湿原に少し秋色が混じる頃によく見かける。花序や花柄に腺毛があって粘るため、小虫が付着するのでムシトリグサと呼ばれることもあるそうだ。
同属のヒメイワショウブ(T.okuboi )は、北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や砂礫地に生えるなかまで、イワショウブよりもひとまわりもふたまわりも小さい。また花は淡緑白色をしており、花序の様子も違うので両者の区別は容易。
イワショウブ/北アルプス・風吹大池。
子房が赤くふくらんできた状態/長野県志賀高原・四十八池湿原(左)。ヒメイワショウブ/新潟県・火打山にて(右)。
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