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花被片も葉も3個からなる
エンレイソウ

ユリ科

Trillium smallii
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 エンレイソウはユリ科エンレイソウ属の多年草で、まるでマントのように3枚の葉を広げ、花被片も3個からなり独特の容姿をしている。漢字では「延齢草」。語源は不明とされるが、アイヌ語から転訛したとする説もあるという。
 花期は4〜6月。花のように見えるのは萼片で、花弁はない。萼片は褐紫色または緑色で、花のあとも落ちない。子房には6稜があり、柱頭は3裂。雄しべは6個ある。ほぼ全草、特に根茎に有毒成分のサポニンを含むが、黒紫色に熟する果実だけは生のまま食べられる。私は実際に食べてみたことが1度だけあるが、ちょっと苦みがあってお世辞にもおいしいとは思えなかった。
 エンレイソウはあちこちの山で普通に見かける。萼片が褐紫色のものが多いが、たまにきれいな緑色の萼片を広げる個体に出会うこともある。広島県の吾妻山や比婆山一帯には、両方見られるが、緑色のものも結構多かった。




萼片が緑色のもの/広島県・吾妻山。



萼片が褐紫色のもの/長野県大町市。



静岡県・長者ヶ岳で見かけたミニサイズのエンレイソウ。高さは10センチほどしかなかった(左)。3裂する柱頭と、そのまわりを取り囲む雄しべ(中)。黒紫色に熟した果実。長野県小谷村(右)。




  
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植物記