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秋の七草のひとつ
オミナエシのなかま

オミナエシ科

Patrinia scabiosaefolia
(オミナエシの学名)
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 オミナエシは秋の七草のひとつに数えられ、古くから観賞用に親しまれてきた花。漢字では「女郎花」と書くが、由来は不明。ただ千年以上も昔からこう呼ばれていたともいわれる。下の写真は公園に植栽されたもの。自生の状態では、ここまで華やかに群生することはなく、晩夏〜初秋の高原や低山の草原で、ポツポツと咲いているのを見かける程度。径4ミリの花冠は5裂し、茎上部に散房状に多数つける。

 一方、オミナエシに対する名前がついているのがオトコエシ。同じオミナエシ科オミナエシ属の多年草で、こちらは「男郎花」と書く。オミナエシよりも丈夫そうなところから、そう命名されたという。黄色い花をつけるオミナエシに対して、こちらは白色。花の大きさは同じで、やはり花冠は5裂する。両種の間には雑種のオトコオミナエシ(P. ×hybrica)も知られる。

 ほかのオミナエシのなかまとしては、ハクサンオミナエシ(P. triloba)がある。別名コキンレイカとも呼ばれ、本州の日本海側の山地〜亜高山帯に生え、葉が掌状に深裂する。花が径4ミリほどのハクサンオミナエシよりも花が径7ミリほどと大きく距が目立つキンレイカ(P. triloba var. palmata)は関東以西の太平洋側と九州に分布する。また北海道の高山帯には高さ10センチほどのチシマキンレイカ(P. sibirica)、福井県や京都府にはオオキンレイカ(P. takeuchiana)、北海道と本州北部にはマルバキンレイカ(P. gibbosa)もある。



オミナエシの群生。福岡県北九州市の平尾台にある広谷湿原にて。



群馬県・草津白根山に咲くハクサンオミナエシ(左)。長野県・斑尾山の登山道で見かけたオトコエシ。この個体は小さい部類に入る。もっと豪壮で背の高い個体もある(中)。花序が丸くまとまるチシマキンレイカ。北海道・夕張岳にて(右)。


  
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植物記