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写真は関東地方以西の本州と四国に分布するクサタチバナ。属は同じだが、アキノクサタチバナはホソバノロクオンソウの変種とされているので、同属というだけで近い種類とはいえないが、この花が紫褐色をしていると思えば、その姿も想像しやすいかも。ただし葉はもっと細い。


わが故郷、広島の幻花
アキノクサタチバナ

ガガイモ科
Cynanchum multinerve var. kiyohikoanum
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 アキノクサタチバナは昭和初期に広島県温品村(当時)で発見されたガガイモ科の植物で、広島に因んで「安芸の草橘」と命名された。発見した旧制広島高等学校・渡辺清彦教授が描いた彩色図を見る限り、花は紫褐色のようだが、見つかったのはこのときだけで、以後、誰も見ていない幻の植物である。
 ここまでの話は、以前から知っていた。だが、実は発見地が実家の裏山近くだったことを知ったときは非常に驚いた。その山は国土地理院の地形図にも名前が記載されていない小さな山で、隣接する山との鞍部にある峠で発見されていたのだ。現地は開発されていることも予想されたが、数年前に行ってみたところ狭い舗装道がのびているだけで未開発のままだった。もしかすると将来、再発見されることがあるかもしれない。


  
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