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「喫煙率が3割を切った」という報道を読んだついでに書きたいこと/2018年9月16日

 習慣的に喫煙している男性の割合が、厚生労働省による1986年の調査開始以来、過去最低の29.4%となり、初めて3割を切ったそうだ。ちなみに女性は7.2%で、男女合わせると17.7%だったという。

 昔は「タバコの煙くらい」みたいな認識が常識だったわけだが、「嫌煙権」という言葉が叫ばれるようになってからも、かなり経過。ようやく、それが世界的な流れになり、禁煙・分煙が日本でも浸透してきたのは喜ばしい限りである。

 なにより喫煙者のタバコにより、非喫煙者の肺ガンリスクが高まるなんて、これほど理不尽なことはない。喫煙者が喫煙して肺ガンになろうとなるまいと知ったことじゃないが、タバコを吸わない他人にまでリスクを身勝手に押しつけて何とも思わない、その図々しさがすごく気に入らない。いくら禁煙になっていなくても公共の場でタバコをスパスパ吸っている連中も相当に頭がおかしいと私は思うね。

 彼らは、そもそも喫煙したいのだ。タバコのリスクについて考えたくもないし、たとえ考えたとしてもそれを正確に理解する能力すらもない。タバコの害について自分に都合がいいように解釈し、それを声高に主張する。そんなことをしても世界的な流れが変わる可能性はゼロなのだから無駄なことはやめた方がいいし、というよりも彼らの主張は真剣に聞く気にもならない低レベルなものがほとんどである。

 何年か前に禁煙学会の主張が取り上げられて、有力クライアントであるJTに媚びたいマスコミが、学会をキワモノ扱いにし、しかもそういう表向きの空気しか読めない科学音痴のド文系ライターが、超爆笑なことに学会を上から目線で的外れな批判をしたりしていたが、彼らは現在のこういう流れをどう思っているのか聞いてみたいものだ。

 あれっ!? 禁煙学会の主張はキワモノだったはずですよね? それなのに禁煙はますます世界的な流れになっていく一方なのはなぜなんでしょう? ということは禁煙学会の主張がおかしいのではなくて、それをキワモノ扱いにしたマスコミの方がまったく信用できないことになりませんか?

 本当のことをいって大変申し訳ないが、ネット上でよく見かけるタバコを擁護したい人の主張って100%爆笑レベル。まあ、そういう主張をしているのは、ほぼ全員、科学音痴のド文系さんなので、もちろん読む前から内容は大体想像つく。具体的には、ほとんどが次のような主張である。


【主張1】 近所に90才のヘビースモーカーがいるが、病気ひとつしたことがなくて、いつも元気。こうした元気なヘビースモーカーが存在することを考えれば、タバコにいわれているほどの害があるとは思えない。

→この人は、そもそも統計学の基礎すらも理解していないだけのことだ。まあ、どうせ科学リテラシーすらもなく、おもしろいほどに定量的な発想が欠落し、おもしろいほどに二分法的発想がお得意のド文系さんならでは。リスクって0%か、100%かのような二分法で判断できないのは当たり前。100人の喫煙者が100人全員、喫煙によって肺ガンになり、それが原因で死ぬわけではない。罹患のしやすさには個人差がある。例外があるからといって、リスクがないことにはならない。90才の元気なヘビースモーカーは、肺ガンに罹患しにくい体質等の好条件があったというだけのこと。若い頃からのヘビースモーカーで60才で肺ガンが原因で亡くなった人は、もし喫煙をしていなかったら、もっと長生きができた可能性が高い…という話しだから、90才の元気なヘビースモーカーが存在することをもってタバコに害がないことにはならない。運転歴30年の優良ドライバーが一度も交通事故に巻き込まれたことがないからといって、車に生死に関わる重大なリスクがないことにはならないのと同じである。


【主張2】 養老孟司先生によると、喫煙に害があるとする科学的根拠はないそうだ。専門家でも見解は違うのだから、まだはっきりした答えは出ていないと自分は考える。

→テレビで見かける機会が多い養老先生がいっていることだから正しいなんて思考停止も甚だしい。養老先生がそうおっしゃっていることは私も承知しているが、これって要は屁理屈なのだ。養老先生は自らが愛煙家だけあってタバコをなんとか擁護したいだけ。自分がタバコを吸い続けたいので、タバコに害があり、禁煙が広がるのは都合が悪い。だから屁理屈を持ち出してでもタバコを擁護したい。タバコと肺ガンの因果関係が証明されていないことをもって「科学的根拠はない」とおっしゃっているわけだが、そもそもそれを証明するのは不可能に近い。なので疫学調査をして統計学的に害があるかないかを判断することになるが、これまでの数々の疫学調査の結果から「極めて黒に近い」ことはわかっていて、これに疑問を差し挟む余地はほぼゼロと見ていい。養老先生といえば、ベストセラー『バカの壁』の著者だが、実は自ら「バカの壁」をお作りになっていることに気づいておられないのではないか。養老先生のこの醜態は、専門家でも自己の欲求を正して真理を優先できない人間の愚かさそのものともいえる。


 こういう主張をする方々に、いかにご自分が呆れたレベルであるか一発で理解させるには、例えば次のような質問をするのがいいだろう。

 彼らが自信満々に語る、「タバコには、実はいわれているほどの害はないんじゃないかな」的な意見を一応は、暖かい目でじっくり聞いてあげた上で…

「なるほど! 素晴らしいご意見です。さすがですねぇ。ところでタールに含まれるベンゾピレンの毒性については、どう評価されましたか? タバコには大して害がないとのことですので、おそらくベンゾピレンの毒性もほかの有毒物質同様に考慮する必要がないというご主張だと思いますが、そうご判断された科学的根拠と、それを裏付ける文献を教えて下さい」

 …みたいな質問をすれば、一発撃沈間違いない。所詮、頭の中でガラガラポンが回っているだけの方々には、こういう質問をすれば、さすがに自らの愚かさに気づかれるだろう(笑)。そもそもベンゾピレンがどういう化学物質かもわからない人や疫学調査がどういうものかも知らない人が、タバコの害についてどうこう言っていること自体が超お笑いなのである。




 
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