| 情報が少なければ少ないほど判断を誤る可能性が増す/2016年1月31日
前回の記事にもつながることだが、あまり中身を詳しく知らないことでも、人間の脳は、一応、答えを出してくれる。でも、自分からすれば正しい答えだと信じたい、その答えはあくまで「とりあえずの印象」くらいの意味しかなく、判断材料の情報が少なければ少ないほど、真の全体像を把握できずに判断を誤る可能性が増すものと考えられる。
このことは、ジグソーパズルにたとえるとわかりやすいと思う。1000ピースからなるジグソーパズルの中から、一部のピースだけを見てパズル完成時の絵柄を想像するという場面を思い浮かべてみよう。
最初にまず箱からピース数点だけ取り出してみると、すべてに花が描かれていた。そこであなたは想像する。「きっと花壇か花畑の絵だな」と。もう少し取り出すと、今度は木の幹のようなピースがあった。そこであなたは想像する。「ははあーん。花が満開になった木の絵だろう」と。ところが、さらにピースを取り出すと今度は瓦屋根や石垣らしきものが出てきて、「庭木と花壇がある和風建築の民家の絵だろうか」と思えてくる。
実際に1000ピースすべてを組み合わせてみると、それは、お城の絵だった。奥には天守閣がそびえ、お堀を取り囲むように木々が点在。そして一番手前には花壇が広がる…という構図だった。ようやく、あなたは合点がいく。「あーそういうことか」と。
つまり、少ないピース(情報)だけでは、「きっと花壇の絵だ」みたいな早合点をしやすいのは、当たり前の話。情報が増えれば増えるほど、本当の姿に焦点が合ってきて、より正確な判断が可能となる。
そもそも脳には、「認知バイアス」があるという。自分の思い込みや願望などに影響されて「論理的に誤った答え」を出してしまう「脳の思考癖」が知られている。当然、情報量が少なければ認知バイアスに陥りやすく、情報量が増えれば、認知バイアスを克服しやすいはずだ。
前回の記事でも指摘した通り、少ない情報を元に頭に浮かんだこと(=極めて「認知バイアス」臭い)だけで判断しても正しい答えを出せるわけがない。念のために申し上げておくと、私は常に認知バイアスを排除して正しい判断をしているというつもりは毛頭なく、そういう脳のしくみを理解し前提とした上で、なるべく正しい判断をするように心がけているだけである。ただ、その前提すらもない人に比べれば、相当にマシだと思っているけどね(笑)。
私たちは、日常生活でさまざまな判断をしているが、実は私も含めてみんな、世の中のあらゆることに関して「真実」を知るのは、容易ではない。私たちの主な判断材料となるのはマスコミ情報だが、情報をかき集めて取捨選択・分析した上で発信している記者も、実は一般人が想像する以上に「認知バイアス」まみれである。記者全員を平均して一般人の平均と比較すれば、確かに調査分析能力が高いのは間違いないだろうが、彼らでも「認知バイアス」から完全に逃れることはできない。それは、たとえ専門家であってもある程度はいえることだ。
知っている気になっていることでも、実際は誰しもすべてを知っているわけではないし、たとえ知ろうと努力しても、内容によってはどうしても限界があることを、せめて知っておきたいものだ。
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