| 橋下さんの慰安婦発言/2013年5月26日
橋下さんの発言は、不正確な報道によってあちこちから批判されているが、でもその主旨は間違っていないと思う。彼を批判している人は、真実を語ることよりも建前や世間体の方が大事なのか、あるいは原則論、精神論ばかりで、現実を直視できないのか、それともお気の毒なことに自分を中心に半径5メートル先までしか思考回路が働かないのか、はたまた日本語の読解力がないのか、そのいずれかとしか思えない。発言の一端だけで脊髄反射的に橋下さんを批判するマスコミも政治家も実に薄っぺらい。女性蔑視という批判もあるが、橋下さんは、現代でも慰安婦制度が必要とはいっていない。当時としては必要だった(もしくは仕方なかった)という主張は間違ってはいない。
当時の軍幹部の立場になって考えてみよう。品行方正な人物ばかりで軍を作れるのならともかく、国民から広く徴兵しなければならないとしたら、どうしても軍の中に品行不良な人物も含まれることになる。当然のことながら戦地の一般女性に対する犯罪も懸念され、慰安婦制度にはその予防的な意味もあったと推察できる。この問題に対して理想的な解決策はなく、要は戦地の一般女性が理不尽な被害に遭うよりも自ら希望する女性によって慰安婦制度を作る方がマシという発想だったとも考えられる。私は橋下さんの発言を概略しか知らず、その発言内容とは無関係にこのように考えていたが、今日の朝日新聞で同じ主旨のことを発言をされているのを知った。物事を建前や感情ではなく論理的に考える人なら同様の答えを導き出すということだろう。
橋下さんがいうように、これが日本だけの懸念だとは到底思えない。諸外国の軍隊にも同様の制度があったかなかったか知らないが、もしなかったとしても、それはその軍隊が立派なのではなく、その分、余計に現地女性がひどい目に遭わされた可能性の方が高いと考えるべきだろう。諸外国が橋下さんを批判するのなら、その前に「わが国の軍隊では慰安婦制度もなければ、現地女性に対して犯罪が行われたことも皆無である」と証拠を揃えて反論すべきであるが、それが可能な軍隊があるとは思えない。
ソ満国境を越えて進軍してきたソ連軍が、日本人開拓団の村々で何をしたのか、戦後、進駐してきたアメリカ軍が敗戦国の日本人女性に何をしたのか。橋下さんを批判する前によく考えた方がいい。慰安婦がけしからんというのなら、そういう悲劇をより多く生むということでしかない。慰安婦制度があっても犯罪は発生するだろうが、減らす効果はあるはずだ。アメリカ政府報道官が橋下さんをきつい言葉で批判していたが、アメリカに正義面して偉そうなことをいわれたくない。
さらにもうひとつ。誰も指摘しないので、代わりに私が見落とせない重要な要素を指摘しておきたい。それは人間は、死と隣り合わせの苛酷な環境に置かれると、自分の遺伝子を残したいという生物学的な本能が発現するということだ。実際に遺伝子を残せるかどうかは別にして、その本能が人間をどういう方向に向かわせるのか、説明の必要はないだろう。これはいくら理想論や建前論を語ったところで、生物としての本能なのだからどうしようもない。その本能が現れるのは日本人に限った話ではなく、すべての人類に共通する。であれば、死と隣り合わせのすべての軍隊で同じ結果をもたらすということだ。
こういう真実にフタをして、一見、立派そうな建前論に終始するのなら、それはいずれどこかの戦場で女性の悲劇につながりかねないことに想像力を働かせるべきだ。繰り返しになるが、当時でも現代でも理想的な解決策はない。だから慰安婦制度を取り入れた日本軍が悪いとはいえない。もし私が当時の日本軍幹部であったとしら、やはり同じ判断をするだろう。強制性があったかなかったかについては、また別の問題だが、私は大いに疑問に思っている。
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