| テンに襲われた佐渡のトキから見えてくるもの/2010年3月17日
佐渡トキ保護センターのゲージにテンが侵入して、9羽のトキが殺されたが、これは単純に想像力の欠如といわれても仕方ないと思う。すでに周辺地区でテンの被害があったことは、センターの職員は知っていたはずだが、ゲージの隙間を見た時にそれとを結びつける「想像力」がなかったということだろう。<br>
ところで、ある山岳関係者からこんな話しを聞いたことがある。某国立公園内にある避難小屋を建て直すことになった。環境省の方針は「2階は、おしゃれな吹き抜け構造にする。避難小屋だから屋根に樋は不要…」というプランだった。これを聞いて、みなさんはどう思われるだろうか。そのプランに問題を感じない人も多いかもしれない。
だが、その山岳関係者は、次のように反論したそうだ。今風のおしゃれな吹き抜けよりも、多くの登山者を収容できるように2階は全部を床にするべき。また避難小屋のそばを登山道が通っており、冬期は、樋がなければ屋根に巨大な「つらら」が生じやすくなり、それが折れて落ちると登山者の生命に関わる重大な事故につながる可能性があると。私は、環境省のプランは想像力に乏しく、山岳関係者の方が、現地状況を熟知した現実的な意見だと感じた。
環境省に限らず、中央官庁の方針というのは、時として想像力の欠如や現場を知らないことに起因する粗雑なものになることも多く、似たような事例はいくつもある。こうした状況が招く社会の不利益について、少しは考えていただきたいものである。いくら勉強が優秀であったとしても、それで現場の状況を正確に把握できるわけはないし、学校の成績と想像力の程度は、必ずしも関係しないのだ。
両者は、別地方の、まったく無関係の話だが、根っこが同じ気がするのは、私だけではないだろう。
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