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埼玉県ふじみ野市のプール事故について思う/2006年8月11日

 先日、埼玉県ふじみ野市で起こった市営プールの吸水口に小学生が吸い込まれて死亡した痛ましい事故は、何でこんな事故がまた起こるのかとやりきれない思いがする。私はプールを利用することはまったくないが、それでも過去に同じようなプールの吸水口に足を吸い込まれて死亡した子供の事故を覚えていたし、危ないものという認識があった。だから当然、その後全国のプールできちんとした改善策がとられていると思っていた。ところが今回の事故である。プールに素人の私ですら、プールの危険性を知っていたのに、その後に全国で発覚した問題のあるプールのなんと多いことか。

 もし私がプールの管理責任者であれば、もっと以前の段階に発生した同様の事故をニュースで聞いたとき、「ウチは大丈夫だろうか」と不安になり、すぐに点検する。だが、これほど問題あるプールが見つかったということは、そこの管理責任者は、過去に何度も起こった同じような事故のニュースを見ても、それと自分のところのプールを結びつけられず、点検もしなかったということになる。あるいはそんな事故のことすら知らずプールの危険性も何ら認識していなかった可能性もある。何という危機意識の低さ。こんなことでは管理責任者として失格だ。

 さらにいえば文部科学省の対策もひどいものだ。平成11年にも同様の事故があったのに、その対策を通達したのは何とその2年後だという。そもそも官僚というのは何かの事故が起こっても人間としての感情なんか持てない人種。事故があり死亡者が出ても、「死亡○名」という数字しか見ていないのだ。だが、その数字の中には、ひとりの人間の人生があり、その死を悲しむ家族だっているのだ。それを思えば、同じような事故で二度と犠牲者を出さないように最大限の努力をし迅速な対応をするのが普通の人間の考えること。だが、彼らは勉強さえできればよしとされて育ってきたような人たちだから、そんな人間として普通の想像力すら働かず、対策がいつも後手後手にまわる。まったく当事者意識が欠落しているのだからどうしようもない。

 またプールの設計者、施工業者も随分お粗末だ。プールのプロであるならば、過去の事故について当然知っているべきだし、そのためにどうすればより危険性を低下させることができるか考えて対策するのが、プロだろう。それをあの程度の対策しかしていないプールを平気で作る。まったくどうかしている。

 テレビで見ているとどこのプールも吸水口や排水口をそのままプール側面や底部に配置し、その前に吸い込まれないための柵を固定する、という同様の造りだが、もし私がプールの設計者なら、以下のような構造のプールにする。こういう構造によって建設コストがどの程度加算されるのかは知らないが、素人の私ですら、この程度のしくみくらい思いつく。プロなら、コストもかからず、安全性もあり、なおかつ子供が吸水口に吸い付いてしまうこともない、もっと優れた構造にできるはずだ。これは技術的にそんなに難しい問題ではないと思う。要はより安全な構造にしたい、という設計思想があるかどうか、それだけのことだ。だが、そんな単純なことだけに余計に行政も含めてプール関係者のあまりの想像力、危機意識のなさにいいようのない怒りを覚える。次世代をになう子供たちを守ることもできないようであれば、もはや大人としての責任を何も果たしていないといわれても仕方ないではないか。

プラン1

側面から送水管に一気に吸い込まれる構造ではなく、このような送水管スペースを作って送水にもうひと段階を設ける。上部に空間があることで、吸い込む力も低減され、万一第1の柵が壊れて送水管スペースに吸い込まれても、第2の柵で送水管にまで吸い込まれることはないし、上部に空間があるので溺れ死ぬ可能性は限りなく小さいが、念のためつかまれる手すりも設置しておく。送水管スペース上部は金属製のすのこ状のフタで覆い固定する。コンクリートなどで完全に覆わない理由は、子供がこのスペースに吸い込まれ、もし誰も見ていなかったとしても声を上げればまわりに聞こえやすいようにするためだ。また送水管スペースの長さは、この図よりももっと長くして(例えば2メートルくらいに)第2の柵に到達する前に子供が自分で態勢を整えて送水管に吸引されにくいようにするのも一案だ。



■プラン2

そもそも危険なのは吸水口や排水口の単位面積あたりの吸水力が強すぎることだ。またプール底部に升状の排水口を作り、柵で覆う構造では柵が壊れた時の危険性が増大する。ならば吸水口や排水口の面積を増やして単位面積あたりの吸水力を低下させ、なおかつ吸水口全体を身体で覆ってしまって吸い付けられることもあり得ない構造にすればいい。例えばこうだ。プール底部に幅数センチ、長さはプールの幅とほぼ同じ超細長い排水口を設ける。もちろん穴には手足が入らないように丈夫な金属製の網で覆う。これならば吸い付けられることもないし、排水能力も低下しない。





 
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