私は山で不思議な出来事に遭遇したことが何度かある。よく調べれば、その原因や理由は案外あっけないものなのかもしれないが、この手の話というのは、もともとその性質上、民話や昔話の類に限りなく近いものだ。だからそういう視点から読んで、ちょっとだけゾッとしてもらえれば結構だと思う。


山
譚
Nature
岳
奇
私が体験した話
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写真に写り込んだ不思議なモノ


 これまで山で相当数の写真を撮影してきたが、その中には原因や正体がわからないモノが写り込んだカットが、ごく少数だがあった。それをまとめてご紹介したい。別に怖くも何ともない写真ばかりだが、私は撮影時の状況などを詳しく知っているだけに不思議に感じる。とりあえず一番不思議に感じた写真から。


●写真1
撮影場所/谷川連峰・清水峠付近
撮影年月日/1987年6月6日


 谷川連峰の朝日岳から清水峠へ下る。その途中の雪渓で友人が私を撮影してくれたのだが、その写真に私と重なって赤い影が映っていた。重なった部分はわかりにくいが、全体としてまるで人の形のようになっていて気持ち悪かった。よく心霊写真では赤い色は警告色といわれるが、確かにこのあと結構危ない状況に陥り、下山は夜になった。その危険を何かが教えてくれたのだろうか。でもデジカメならいざ知らず、帰宅して現像してみなければわからないのだからいくらフィルムに写り込む方法で警告されても意味ねぇじゃん(笑)。
 またフィルムや現像のアクシデントの可能性も考えられるが、友人は連続して2コマ撮影しているのだが、不思議なことにその2コマとも同じ赤い影が写っていたのである。もちろんフィルムを巻き戻す前に裏ブタを開けてしまって光のムラが生じたわけではない。それに1コマ分離れたフィルム上にまったく同じ形状のムラが生じる確率は限りなく低いし、現像ムラなんて実際ほとんどない。
 その時、私の側に何かがいたとしたらやだなぁ。ひょっとして今も憑いたままなんてことねぇよな。ぞ〜っ。



私の姿に重なる赤い影。影には関係ないけど、今はまったく履かなくなったニッカボッカ、懐かしいねぇ。ところでニッカボッカの右と左の微妙な色の違いから、赤い影が私の姿に半分ほど重なっていることがわかる。




●写真2
撮影場所/東京都奥多摩町
撮影年月日/1987年3月15日


 奥多摩の御岳山から大岳山、鋸山を歩いた時のこと。夕方、愛宕山から下って、その愛宕山を見上げて撮影した写真に丸い光が写っていた。撮影時、こんな光があった記憶はまったくない。もし、ここに何らかの光源があったとすれば、当然正面の白い家の外壁や手前の木にも黄色い光が当たっているべきなのに当たっていないことを考えると、街灯などではないことになる。



中央に写っている山が愛宕山。奥多摩駅前にそびえる小さな山だ。その右手に明るく光る謎の光…




●写真3
撮影場所/南アルプス・地蔵岳中腹
撮影年月日/1986年12月31日


 鳳凰三山を縦走し最終日、鳳凰小屋から御座石鉱泉へ下山。その途中に何気なく写した風景に人の横顔のようにも見える白いものが写っていた。ピンボケなのでレンズに近い位置に何かがあったことになるが、手に持っていたものが写り込んでしまったとしても、どうもそれらしいものが思い当たらない。当日、私がしていた冬山用の手袋は赤色だったし、カメラのストラップは黒色。白いものは何もないのだ。雪を被った木の枝には見えないし…。いったい何だ。



見ようによっては人の横顔のように見えてしまうのは大脳の特性か。それとも…




●写真4
撮影場所/北アルプス・唐松岳
撮影年月日/1988年8月14日


 唐松岳から白馬槍へ縦走した時のこと。2日目の早朝、唐松岳頂上山荘裏手のピークに登って御来光や周囲の山を撮影したのだが、そのうち朝日を浴びる五竜岳の写真に体育座りしている人らしきものが写っているのに気づいた。
 人のようにも見えるし、岩か何かがそう見えるだけといわれればそうとも思える。写真に写っているピークは頂上山荘そばの五竜岳に続く稜線上にあるのだが、登山道はこのピークを巻いているので人らしきものが写っている場所に登山道はない。人だとすると当然、撮影の時間帯から考えても頂上山荘もしくは幕営地の宿泊者ということになるが、御来光前後なら道も判然としない稜線をたどるのは大変なはず。それなのにどうしてそんなところまで無理して足をのばしたのか。加えて御来光を見るのなら頂上山荘に近い写真左手のピーク上の方がいいに決まっている。なのにこの人はわざわざそのピークを通り越した場所で、御来光の方ではなく反対側の方を向いて座っているのである。



唐松岳頂上山荘付近のピークから撮影した五竜岳。その手前のピーク近くに小さく写る人影?(赤の矢印)


元の写真では小さくてわからないので思いきり拡大してみた。すると…白い帽子に白い靴を履いた人の姿が見えてきた。これは明らかに人だ。だが、そうであっても先に書いた疑問点は消えない。それに登山で来ているはずなのに、まるでスニーカーのような白い靴…。確かに幕営地用に登山靴とは別にスニーカーを持参する人もいるのだが。それとも世の中には白い登山靴なんてあるのだろうか。それに頭の白い部分は帽子というよりヘルメットにも見えるが…。そもそも大半の登山者は山荘に近い私がいたピークで御来光を見る。それなのにどうして山荘から離れた道もない場所に行こうと思ったのだろうか。しかも早朝に。う〜ん、妙だ。


 
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