自分の名字を名乗っただけなのに韓国人から怒りまくられそうなお気の毒なTさんから2011年5月20日に頂いたメールです。この人は、ろくに私の記事も読まずして人のことを「偏執狂」呼ばわりしておきながら、議論の末「あなたの主張の大部分は正しい」とあっさり認めました。そうであるなら「偏執狂」呼ばわりしたことを謝罪するのが普通だと思いますが、呆れたことに「貴サイトを訪問したことは、多少なりとも有意義であったと感じています」…だそうです。

 これを見れば、たとえ京都大学大学院を出ていようが、抜けている人は所詮抜けてるということがよくわかります。ただし、私はこの人を評価もしています。ひとつは、きちんと名乗って、携帯電話の番号まで記載してメールしてきたこと。もうひとつは議論の末、自分の主張とは完全に相反していても正しいところは正しいと認めたからです。いくら議論しても結局は結論ありきの反論を延々と続けることしかしないキ印・犬連れ登山者や、たとえ犬連れ登山反対派であっても健全な議論すらできない人と比較すればはるかにマシです。まあ、京都大学大学院を出ていれば、健全な議論とは何かくらい理解されているのが当たり前でしょうけどね。

 「自分は京都大学大学院だ」と胸を張って議論に挑んできたのに東農大・学部卒にあっさり論破された実にみっともないTさん。だからメール転載を拒否したい気持ちは痛いほどわかりますが、そうはいきません。メールの中で「無理に載せる気はない」と私は書きましたが、時間経過とともに人間、考えが変わることは誰しもあります。Tさんは転載を望まない理由をきちんと説明されていないので、すべてそのまま掲載させていただくことに方針転換しました。ご希望通り匿名にしたので勝手なメール転載が失礼とは思いません。むしろTさんがおっしゃる「公平な議論」には必要不可欠と私は考えます。

※記事最後に「解説」もあります。





◆Tさんからのメール・第1便

日野様


はじめまして。Tと申します。
犬連れ登山に関する記事を、貴ホームページで偶然に拝見しました。
ワタシは2-3度、愛犬を連れて登山をしたことがある者です。

貴重なご意見に関しては、もっともだと感じる部分も多々あります。

ただ、名指しでの一方的な批判や、犬連れ登山者を全員バカ呼ばわりする態度。
犬好きのワタシにとっては、正直、腹立たしい思いです。
偏執狂的な長文の意見が書き連らねられているのも、異常に感じます。

おそらく多くの犬連れ登山者は、野生動物への感染の問題を知らないと思います。
そういう人に対しては、より冷静で論理的な意見の提供が不可欠です。
バカ呼ばわりの文章では、反感をもたれる効果しかないでしょう。
感情的に言い放つのではなく、もっと冷静な態度が必要なのでは。

また感染の危険性は確かだと思いますが
犬連れ登山による楽しみの享受とのバランスの問題も無視できないでしょう。
想像するに、ななたは相当の犬嫌いとお見受けします。

犬連れ登山の、賛成派と反対派の公開討論の場があればいいと思います。
欧米など諸外国の状況はどうなのか・・・そこも知りたいところです。
愛犬雑誌やBE-PALで、そういう誌上討論を提案すると言うのも一考です。
あなたのようにBE-PALを名指しで批判してたら、そのチャンスも潰れますね。
ある意味、あなたは議論の芽を摘んでしまっているのでは。

さらに犬からの感染症は、野生動物への危険性だけでなく、人間にも危険です。
例えば、狂犬病のほか、レプトスピラ症やパスツレラ症など・・・数十種類も。
予防接種ではすべての感染から逃れることはできません。
詳しく調べてはいませんが、愛犬家の死者も少なからずいるはずです。
タバコで死ぬ愛煙家と同じですね。

じゃなぜ、犬を飼うこと、タバコを吸うことが認められているかと言うと
それは人間らしい豊かな生活に寄与してるからです。
あなたには理解できないことかもしれません。
科学の論理だけで、物事は解決しないってことではないでしょうか。

あなたも、科学とか論理とかばっかに囚われてると
総合的に物事を判断のできない欠陥人間(科学バカ)と見られてしまいますよ。

そういう点では、日本アウトドア犬協会とあなたは、まったく同レベル。
あなただけが正しいとは、とても思えません。

ちなみにワタシは京都大学大学院で植物病理学を専攻した者です。
たぶんあなた以上に科学的・論理的な考えには慣れているつもり。
それでも犬連れ登山を、無条件に禁止すべきとは思えません。

今後、日野さんには、より真摯で公平な態度で、犬連れ登山に対する
議論を盛り上げる活動を期待したいと思います。

突然のメール、失礼いたしました。

T (54歳・会社経営)




◆私からの返信メール・第1便


Tさま

初めまして。
回答するには、どうしても偏執狂的な長文(同じく長文のTさんのメールも十
分に「偏執狂的」ですけど)にならざるを得ませんので、あらかじめご了承願い
ます。この問題は、Tさんが思っているほど単純じゃないですし、私の意見を
短文で表すことはできないので。



> ただ、名指しでの一方的な批判や、犬連れ登山者を全員バカ呼ばわりする態度。
> 犬好きのワタシにとっては、正直、腹立たしい思いです。
> 偏執狂的な長文の意見が書き連らねられているのも、異常に感じます。



別に一方的じゃないですよ。犬連れ登山者の意見を聞いた上で、それに対して批
判しているわけですから。私の意見が違うと思うのなら議論しますよ、こういう
風に。だから、メールでコンタクトとれるようになっていて、Tさんも、その
手段を使って反論されているじゃないですか。このどこが一方的なのか、ぜひご
教示お願いします。

また犬連れ登山者全員をバカにした覚えはありませんね。記事の中でも、きちん
と説明すれば理解してくれる犬連れ登山者もいることは触れていますし、実際に
山で注意した犬連れ登山者の中にも、「確かにおっしゃることは、よくわかりま
した」とすんなり理解してくれた人がいたのも確かです。

問題なのは、そうじゃない人です。私にいわせれば、それこそ「偏執狂」的な犬
連れ登山者ですよ。もはや宗教の域に達している病的な人たちです。

犬連れ登山を批判している私以外の人たちも、みんな「尋常じゃない」といって
います。もし、健全な議論ができる人ばかりであれば、私もここまでエスカレー
トしなかったのは間違いありません。Tさんが健全な議論ができるのであれば、
何をいっても都合の悪いことは無視する犬連れ登山者にも私と同様に「健全な議
論をしよう」と呼びかけられてはいかがですか。反対派の私だけに健全な議論ば
かり求めて、犬連れ登山者には健全な議論は一切求めないというような歪んだ対
応は、まさかされないですよね。



>
> おそらく多くの犬連れ登山者は、野生動物への感染の問題を知らないと思います。


それは、Tさんが、自分で思っているほど犬連れ登山者の実態をご存じないか
らじゃないですか。Tさんみたいに科学的な議論に慣れている人ばかりなら、
もっと簡単でしょうよ。でも、そうじゃないんです。記事をよく読んでほしいも
のですが、否定的な専門家の意見があってもそれを完全に無視する。犬連れ登山
が禁止されている山で、行政の人がいくら注意しても聞き入れない。犬に何か問
題があるはずはないという病的な信念にとらわれていて、健全な議論すらできず、
一方的に自分たちのなかまうちだけで、「犬連れ登山に問題があるはずがない」
と盛り上がっている。そういう犬連れ登山者が大勢いるのは事実です。



> そういう人に対しては、より冷静で論理的な意見の提供が不可欠です。
> バカ呼ばわりの文章では、反感をもたれる効果しかないでしょう。
> 感情的に言い放つのではなく、もっと冷静な態度が必要なのでは。
>



冷静って、よくいいますよ。偏執狂とか、異常とか、悪意のある言葉が並んでい
るところを見ると、もう頭に血がのぼって、ワナワナと手が震えながらキーボー
ド打ってる姿が目に浮かぶようですよ(笑)。人に冷静にしようと上から目線で
進言する前に、まずTさんが冷静になられてはいかがですか。

私も冷静な議論に反対はしません。私も最初はそうでした。きちんと説明すれば、
犬連れ登山者とて山や自然が好きだからこそ、問題があることを理解してくれる
だろうと思っていました。でも、感染症のことを知っても「感染症が危険とは、
よく聞くけどピンとこない」で終わりですよ。
そもそも生態系や感染症についてまったく理解していないんですから。ものすご
く基礎的なことから説明しなくちゃいけない人たちですから「理解できない」こ
ともあるでしょうが、そもそも「理解したくない」のが本音だと私は今では思っ
ています。そりゃあ、そうでそうよ。犬連れ登山が楽しくて仕方ないんでしょ。
それをやめたくないんですから。そういう構図なんですから、すべての犬連れ登
山者と健全な議論なんかできっこないんです。

反感もたれることは承知の上ですね。やわらかいいい方をしても、それこそ事態
の危険性に気づいてもらえないので、やむを得ずです。中には、ここまでいって
いるところを見ると、ヤバイんじゃないかと思う人もいるかもしれないでしょう。

本当に科学的な議論ができるのなら、反感を持とうと何をしようと、それに反論
できず一理あると感じれば、受け入れなくてはなりませんが、一理あることがわ
かっていても受け入れない人たちに「やわらかい説得」が何の意味があるんでし
ょうか。

それにこの問題は、私の個人的な問題ではなく、国民全体の利益にも関わってく
る公共的な問題です。Tさんが、感染症の危険を理解されたのであれば、犬連
れ登山者でもあるTさんが、冷静な態度で犬連れ登山者にもそのことを周知徹
底されてはいかがでしょうか。Tさんが、本当に個人的な感情に左右されず、
科学的論理的な判断がきちんとできており、しかも感染症の影響を理解されてい
るのであれば。

自分は、そんなめんどうなことはしたくないけど、そういうめんどうな一円の
金にもならないことに手間をかけている私に文句をいうヒマがあったら、あ
なたが、犬連れ登山者に感染症の問題がある事実を伝え、議論しようとPRされ
るべきでしょう。感染症は考慮不要という根拠でもあれば、もちろんしなくても
結構ですが、当然理解されていますよね。



> また感染の危険性は確かだと思いますが
> 犬連れ登山による楽しみの享受とのバランスの問題も無視できないでしょう。



なぜ犬連れ登山による楽しみの享受とのバランスの問題が無視できないのか、ぜ
ひ理由をお聞かせください。

琵琶湖にもともといた魚は、バスのために絶滅の危険にさらされていますが、バ
ス釣り愛好家が、バス釣りの楽しみを享受するためには、在来の魚が絶滅しても
いいんでしょうか。

危険な感染症が流行している地域に、海外旅行による旅行者の楽しみの享受との
バランスも必要だとして、そういう感染地域への出国、そういう地域からの入国
を安易に認めてもいいんでしょうか。

また、いっておきますが、私は犬連れ登山すべてを禁止すべきとは考えておりま
せん。例えば、地元行政が、感染症などの問題を把握し、専門家が調査した上で
問題ない、と判断し、さらに犬連れ登山者向けの山として開放しようと地元行政
が「この山は犬連れ登山OK」とするのであれば、私は反対はしません。

ただ、現状は、その山にどういう野生動物がいて、犬が保有している感染症とそ
の野生動物との関係がどうなのか、そういったことはまるで調査検討されていな
いにもかかわらず、犬連れ登山禁止看板がないというだけで、「この山は犬連れ
登山OK」と判断されているのが現状です。もしかしたら、きわめて危ういかも
しれない。それが放置されているのが現状です。そういう現状であれば、少なく
とも調査されていない山では、より安全を考慮して、はっきりするまでは犬連れ
登山は控えるというのが、理にかなっています。



> 想像するに、ななたは相当の犬嫌いとお見受けします。


残念ながら、犬嫌いが理由ではありませんね。記事でも何度も書いていますが、
ご覧になっていないようですね。おそらく一部の記事を読んだだけだろうとは想
像しますが、人を批判するのであれば、該当箇所くらい読んで、私の意見を把握
してからにしてください。

私は子供の頃は大の犬好き・大の猫嫌いでした。犬を飼っていたこともあります。
それは比較的最近までそうでしたが、犬連れ登山の問題に関心をもつようになっ
て、自己チュー極まりない愛犬家の意見や態度を見ていて、そのせいで犬嫌いに
なりました。原因と結果が逆ですよ。犬のせいではないので、犬には申し訳ない
ですけどね。

それに愛犬家の人って、どうしてみんなそうなんでしょうね。犬連れ登山反対を
唱えると、バカのひとつ覚えのように「犬嫌いだからだ」っていうんですよ。本
当におもしろいくらいワンパターンです。いかにも「犬嫌い=理解しがたい人間」
みたいな烙印を押して、犬はすばらしい動物だと思い込んでいる自分を納得させ
たいんでしょうね。

犬というのは、飼い主がどんな人間だろうと尻尾を振ってくれます。現実の人間
関係では、なかなか難しいことですが、犬はそういう部分を癒してくれる貴重な
存在です。だから無意識のうちに自分にとっての癒しを失いたくないと知らず知
らずに防御に走るんでしょう。従って人間の根源的な心理に直結しているだけに
自己チューになりやすいと私は考えています。つまり、自分が溺愛している子供
がどんな悪さをしようと、「うちの子に問題あるはずない」といって聞かない困
った親と似ています。

でも、仮に私が犬嫌いであったとしても、私が犬を嫌っても自由じゃないですか。
ヘビは大嫌い、あのタレントは大嫌い、というのと同じでしょう。ただ、犬が嫌
いだから犬連れ登山を反対しているわけではないのは、今、書いた通りです。

理由をきちんと説明しているにも関わらず、犬嫌いだから反対しているに決まっ
ていると断定しているTさんが、論理的な議論ができる人とは思えませんが。
私が、理由もなく犬連れ登山を反対しているのであれば、そう断じても仕方ない
ですけどね。



> 犬連れ登山の、賛成派と反対派の公開討論の場があればいいと思います。
> 欧米など諸外国の状況はどうなのか・・・そこも知りたいところです。
> 愛犬雑誌やBE-PALで、そういう誌上討論を提案すると言うのも一考です。
> あなたのようにBE-PALを名指しで批判してたら、そのチャンスも潰れますね。
> ある意味、あなたは議論の芽を摘んでしまっているのでは。



議論の芽をつんでしまっているのは、むしろ彼らです。なぜ私がBE-PALを名指し
で批判しているか、お教えしましょう。私は2005年、自分の著書のコラム欄で、
犬連れ登山に重大な問題があることを、岐阜大学大学院獣医学研究科の教授(所
属は当時)に解説してもらいました。私の意見は、この先生の意見が元になって
いますが、とはいえ、いち研究者の意見だけ取り入れたわけではありません。な
ぜ、犬連れ登山反対の立場をとるようになったかについては記事に詳しく書いて
います。

さて、その本は、宣伝用として版元がBE-PAL編集部にも送っています。ところが、
その翌月のことです。私はこれまでBE-PALに売り込みをしたことは一度もないに
も関わらず、なぜか突然、BE-PALから仕事のオファーを受けたのです。なぜでし
ょうか。その本を見て、私を使いたくなったのでしょうか。私はそうじゃないと
思っています。これまで、散々アウトドアに犬を連れ出そうという宣伝をしてき
たBE-PALにとって、犬から野生動物へ感染症が広がる危険が存在していることは、
まさに「不都合な真実」だったからですよ。もしそれが広く知られるようになっ
たら、BE-PALでそういう宣伝をして、少なくともBE-PAL読者から支持されている
シェルパ斉藤や野田知佑のイメージダウンにつながり、当然、BE-PALという雑誌
のイメージも悪くなり、雑誌が売れなくなるからです。だから、おそらくBE-
PAL編集部(たぶん、編集長クラスじゃなくて、もっと上の小学館上層部)にとっ
ては、なんとしてもこの事実にはフタをしたいわけです。それには、とりあえず
騒いでいる私を黙らせたいわけですが、私はそういう分野の仕事をしているわけ
ですから、そういう時はニンジンをぶら下げるのが一番効果があると考えたんじ
ゃないですか。

BE-PALが、本当に健全な議論ができるのなら、なぜ感染症の危険は無視して感染
症のことも何も知らない読者に向けて犬連れ登山を宣言しても問題ないのか、犬
連れ登山には犬と野生動物の双方にとってリスクがあることをどうして読者に伝
えないのか、Tさんは編集部に電話して問い詰めてみられてはいかがでしょうか。

ちなみに記事でも書いていますが、私は一度BE-PAL編集部に電話しています。編
集部の女性は、「どういう問題があるか把握していない」といい、「こちらでも
調べてみます」といっていましたが、その結果が誌面に載ることはなく、私はそ
のやりとりをそのままサイトに載せました。

また何年か前にも同じようなことがあったんです。読者から、犬連れ登山禁止を
どう思うか、という質問があり、それにシェルパ斉藤がトンチンカンな答えをし
ていたのですが、その後、やはり反対意見が多数寄せられ、その時も「編集部で
も調べてみます」と書いてありましたが、その結果が記事になることはありませ
んでした。

BE-PALにしてみれば、当然でしょう。とにかく無視したいんです。だってきちん
と調べて真実が明らかになれば、BE-PALにとっては、とても都合が悪いんですから。



> さらに犬からの感染症は、野生動物への危険性だけでなく、人間にも危険です。
> 例えば、狂犬病のほか、レプトスピラ症やパスツレラ症など・・・数十種類も。
> 予防接種ではすべての感染から逃れることはできません。
> 詳しく調べてはいませんが、愛犬家の死者も少なからずいるはずです。
> タバコで死ぬ愛煙家と同じですね。
> じゃなぜ、犬を飼うこと、タバコを吸うことが認められているかと言うと
> それは人間らしい豊かな生活に寄与してるからです。
> あなたには理解できないことかもしれません。
> 科学の論理だけで、物事は解決しないってことではないでしょうか。



何か勘違いされていませんか。私は別に犬を飼うことまで否定していませんよ。
人間に対しても犬が危険な感染症をもっているのは、数ヶ月前TBSのテレビで
も取り上げて警鐘を鳴らしていましたので、知っています。野生動物へのリスク
がないところで、自分が感染するごくわずかなリスクくらいは目をつぶって、大
いに人間らしい生活を送っていただきたいと思います。それには反対しません。

でも、人間らしい生活が必要だからといって、野生動物が絶滅するリスクを無視
してまでして山に連れて行く意味はまったくわかりませんね。野生動物の生活圏
と重ならないところで、大いに犬とたわむれればすむことじゃないですか。

Tさんはいろいろおっしゃっていますが、突き詰めれば、要は頭の中では


野生動物 < 人間らしい生活


という優先順位が頭の中にあるということでしょう。まあ、そういう価値観なら、
それも自由ですが、であればいかにも自分は見識ある人間であるかのように「自
然を大切にしよう」なんてことはいわない方がいいでしょうね。

科学の論理だけで、物事が解決しない? なんじゃそれって感じです。それはT
さんが、頭の中で自分の欲求が論理に影響しているのをきちんと区別できてい
ないからではないですか。



> あなたも、科学とか論理とかばっかに囚われてると
> 総合的に物事を判断のできない欠陥人間(科学バカ)と見られてしまいますよ。
>
> そういう点では、日本アウトドア犬協会とあなたは、まったく同レベル。
> あなただけが正しいとは、とても思えません。
>
> ちなみにワタシは京都大学大学院で植物病理学を専攻した者です。
> たぶんあなた以上に科学的・論理的な考えには慣れているつもり。
> それでも犬連れ登山を、無条件に禁止すべきとは思えません。
>



京都大学大学院とでもいえば、ビビるとでも思っていらっしゃるんでしょうか。
東大大学院でもルーピーな総理大臣もいらっしゃいましたから、Tさんの学歴
に特別な感想はありません。私としては、高学歴者というのは、確かに専門分野
では優秀だけど、専門バカも意外に多いというのが正直な感想です。Tさんも
自分の欲求が判断にどう影響されているか、客観的にとらえられるように努力さ
れた方がいいと思いますけどねぇ。

それに本当に健全な議論ができるのであれば、議論に何の関係もない学歴なんか
振りかざす必要はありませんよねぇ。それとも学歴でも振りかざさないと勝てな
いんでしょうか。

京都大学大学院で植物病理学を専攻した。だから何なんでしょうか。野生動物の
感染症については何もご存じなかったから、涼しい顔して犬連れ登山してたわけ
でしょう。私が専門家にも確認せずに、犬連れ登山反対を唱えているのであれば、
そう胸を張って「どうだ参ったか」とおっしゃっても構いませんが、犬連れ登山
に問題があるといっているのは、私ではなく野生動物の感染症の専門家です

失礼ながら、この問題に関しての行司役は、植物病理学を専攻した会社経営者で
はなく、野生動物の感染症の専門家です。

植物病理学なんて、この問題にさほど関連もなく、しいていえば、私と同じく微
生物関連つながりという程度の、しかも現役でもない会社経営者の意見には興味
ありませんね。それほど自信たっぷりなのであれば、犬連れ登山が問題があると
いっている専門家に意見するべきでしょう。どうして専門家にはメールされなく
て、私なんでしょうか。私なら議論に勝てるとでも勘違いされましたか。



> 今後、日野さんには、より真摯で公平な態度で、犬連れ登山に対する
> 議論を盛り上げる活動を期待したいと思います。



どうして私なんでしょうか。Tさんも無関係ではないでしょう。私が日本アウ
トドア犬協会と同じでダメだとおっしゃるのなら、あなたが真摯で公平な態度で、
犬連れ登山議論を盛り上げればいいじゃないですか。どうしてされないんでしょ
うか。その理由をぜひ教えて下さい。

自分がするのはめんどうだし、もし議論を盛り上げた結果、かえって犬連れ登山
の問題点が世間に広く知られるきっかけにでもなって、自分が犬連れ登山を続け
られなくなるのはいやだし、そんなことに時間をかけたくはないけど、私に文句
をいう時間は十分とれるんですよね。さすが京都大学大学院を出られている人は、
ご立派です!!




> 突然のメール、失礼いたしました。
>



失礼ということがわかっているのなら、そうならないように配慮ってできません
か。あらかじめこういう点で議論したい、少し長くなるが、メールしてもいいか。
それを相手に確認してから送るのが、マナーですよ。それとも京都大学大学院ま
で出て、54才の会社経営されているような方が、その程度のマナーも備えてい
らっしゃらないんでしょうか。やっぱりいろいろ抜けている犬連れ登山者らしい
ですね。

私も短文の問い合わせには気持ちよく応じていますが、いきなり長文のメールを、
それこそ一方的に送りつけてくるのもどうなんでしょうねぇ。私のサイトの意見
を一方的だとおっしゃいますが、読みたくなければ読まなければいいだけのこと
でしょう。違いますか。それとも自分の抜けていた部分を指摘されて頭に来て、
一矢報いたい、何がなんでもメールしてやるとでも思われましたか。

このメールのやりとりは、いづれ気が向いた時にでもサイトに掲載させていただ
きます。ただし、名前・電話番号・メールアドレスは伏せます。もし、そういう
ことを望まれないのであれば、その理由を示してください。特に反応がなければ、
転載を許諾したものとみなします。


日野





◆Tさんからのメール・第2便


日野さま


早速、ご丁寧な“超”長文のご返事をいただき有難うございます。

あなたの主張の大部分は正しいし、おっしゃりたいことは分かりますけどね・・・
ここでは細かな議論はやめておきます。

私は公平な立場として、正当な問題提起がなされることを望むばかりです。
例えば、一般紙等のマスコミにそういう問題があることを提示されてはどうですか?
ただそれがあなたの責任だとは言ってません、念のため。
私も機会があれば、周囲の人と議論もしてみたいと思います。

ただひとつ、本件に関して、一方的にサイト内で、
反対論者を名指しでバカ呼ばわりすることは止められた方がいいのでは。
これを読んだ人は、あなたをまっとうな議論ができる人だと思えないでしょうから。
別に高所から言ってるわけではありませんよ。
またメール内容の転載に関しては、そんな目的で出したわけではありません。
それこそ失礼ではないでしょうか。私の許諾が必要ですよ。
個人情報の転載はもとより、一部を好都合に引用することも厳禁です。

自分の言う通りにならない相手に対して
そういう脅しともとれるような行為に出るのは良くありませんね。

本日、偶然ではありますが、貴サイトを訪問したことは、
多少なりとも有意義であったと感じています。

犬連れ登山の問題が世の中に周知され
広く公平な意見が交わされることを願っています。








◆私からの返信メール・第2便

Tさま


> 私は公平な立場として、正当な問題提起がなされることを望むばかりです。
> 例えば、一般紙等のマスコミにそういう問題があることを提示されてはどうですか?



いや、それは無意味です。もう散々、いかにマスコミがヒドいか、たっぷり見て
きましたから。そのことは記事にも書いています。

Tさんが理系出身なら、多少はご理解いただけると思いますが、生態系の意味
もよくわかっていない、しかも細菌とウィルスの違いも理解していない文系記者
が取り上げても、「そうはいっては、犬にそれほど大きな問題はないんじゃない
かな〜」というイメージに取材結果が引きずられてしまって、どうしてもトンチ
ンカンな記事になっちゃうんですよ。まさかと思われるかもしれませんが、彼ら
の記事に、おもしろいようにバイアスがかかるのは事実です。

Yomiuri Weekly、東京新聞、中日新聞、山と渓谷、どれも呆れました。
Yomiuri Weeklyは、タイトルに賛否両論と書きながら、犬連れ登山賛成派の意見
だけでまとめていました。東京新聞は、事実誤認に基づいたウソ記事にしていま
した。ヤマケイは、専門家に意見を聞いたにも関わらず、肝心の細菌とウィルス
の違いをごっちゃにしてました。どれも、お粗末極まりないと思いました。

そんなもんで正当な問題提起なんかできっこないんです。
これでジャーナリズム? お笑いです。



> ただそれがあなたの責任だとは言ってません、念のため。
> 私も機会があれば、周囲の人と議論もしてみたいと思います。



周囲の人だけですか。Tさんだって、やろうと思えば、いろいろできるでしょ
う。それこそBE-PALや、犬連れ登山に問題があるとする専門家にも問い合わせて
意見を聞かれてみてはいかがですか。どちらも電話一本ですむことですよ。



> ただひとつ、本件に関して、一方的にサイト内で、
> 反対論者を名指しでバカ呼ばわりすることは止められた方がいいのでは。
> これを読んだ人は、あなたをまっとうな議論ができる人だと思えないでしょうから。



そうでしょうか。反論したければ、反論すればいいだけのことでしょう。なぜ反
論しないんでしょうか。いつでも受けて立ちますけど。

野生動物が絶滅するかもしれないことを、自分の欲求だけ優先して続けているよ
うな人たち、しかもおそろしく何も知らない、例えば「野生動物を守りたいとい
うのは、そう思う人のエゴだ」「犬だって野生動物だ」というような超低レベル
なことを自信たっぷりに主張しているような連中にバカという言葉を投げかける
意外に言葉は知りません。まっとうな議論ができないのは、彼らですよ。



> 別に高所から言ってるわけではありませんよ。
> またメール内容の転載に関しては、そんな目的で出したわけではありません。
> それこそ失礼ではないでしょうか。私の許諾が必要ですよ。
> 個人情報の転載はもとより、一部を好都合に引用することも厳禁です。
>
> 自分の言う通りにならない相手に対して
> そういう脅しともとれるような行為に出るのは良くありませんね。
>



「たとえ断られても勝手に載せますから」とは書いてないでしょう。いやなら、
理由を教えてくれ、反応がなければ許諾したとみなして転載すると書いただけで
す。従って、別に失礼ではないと思いますが。転載してほしくなければ、きちん
と理由を述べていただき、それが納得できるものであれば受け入れますよといっ
ているわけです。実に論理的じゃないですか。

そもそも議論があるべきと考えているTさんが、どうして掲載がいやなんでし
ょうか。個人情報は伏せるといっているでしょう。その理由は、特に書いてない
みたいですね。

私が転載する場合は、都合のいい部分だけ引用するつもりはありません。修正も
加筆もなく、そのまま全文転載します。別に脅しなんかじゃないですよ。そもそ
も脅す必要もない。勘違いしないでください。もともと私は健全な議論を旨とし
ていますから、Tさんの意見、それに対する私の反論。これを読んだ人も我々
の議論が大いに参考になると思いますけど。

まあ、望んでいないものを無理に載せるつもりもありませんけどね。



> 本日、偶然ではありますが、貴サイトを訪問したことは、
> 多少なりとも有意義であったと感じています。
>
> 犬連れ登山の問題が世の中に周知され
> 広く公平な意見が交わされることを願っています。
>



そういう、なんだかわかったようなわかっていないような、いかにも自分は公平
だぞみたいな結論にもっていくのも実にありがちなんですよね。最初は、犬連れ
登山者は自信たっぷりに意見を書いてくるんです。でも、私の反論に再度反論で
きないと、やがては、そういう結論で無理矢理終わらせようとするんですよ。

私はすでに何人もの犬連れ登山と議論して、少なくとも彼らのお粗末な緩〜い反
論に対して、答えに窮したことは一度もありません。でも、それらの中では、Tさん
は、まだマシかなとは思いましたけどね。

何度も言うようですが、公平な意見が交わされるなんて無理なんですよ。要は、
犬連れ登山を続けたいのがなによりの本心なんだから。野生動物がどうなろうと
知ったこっちゃないんです。それに目をつぶる方が、何かと都合がいいマスコミ
と、そもそも細菌やウィルスに無知な一般登山者がそれらを傍観して何もピンと
きていないというのが、この問題のありのままの構図です。



日野





  解 説



 本当にTさんが、真理を第一に考えて行動する人であれば、何よりもまず、犬連れ登山に重大な問題がある、との見解を述べている専門家にアプローチして、詳しく意見を聞いてみることが絶対に必要なはずですが、いかにも自分は公平で見識があるふりをしながらも、「まわりの人にも意見を聞いてみる」という、どうでもいいようなことで誤魔化すのは、京都大学大学院修了の学歴を持ちながら、そんなものかとお笑いですね。

 専門家の否定意見を聞いた上で、それでも「これこれこういう理由で私は違うと思う」というのならわかるのですが、聞こうともしない理由は、要は専門家から説明されると、おそらく反論できないし、犬連れ登山に問題があることを認めざるを得なくなるだろうことをすでに想定しているからにほかなりません。意見を聞かなければ、良心の呵責もなく、犬連れ登山を続けらますからね。犬連れ登山者というのは、みんな自分は公平な態度だといいたがりますが、その実態は、結局その程度なんですよ。
 
 最後の返信で「あなたの主張の大部分は正しいし、おっしゃりたいことは分かりますけどね・・・。ここでは細かな議論はやめておきます」といかにも、自分はまだ反論できるけど、やめておく…みたいな形で無理矢理終わらせていますが、Tさんは、この問題がどういうことなのか理解されていないみたいです。
 
 これは、犬連れ登山に好意的な専門家がいるのと同じ理由なんですが、
犬連れ登山の問題点とは、獣医学の専門家全員が共有している知見によるものではなく、日頃から野生動物に接して野生動物の感染実態を知っている獣医師や獣医学者だけが懸念していることなんです。だからたとえ東大教授であろうとも野生動物の感染実態に接する機会がなければ、実態を知らないし、危険性に気づくこともない。仮に実態を知っていても登山の実相を知らなければ、その落とし穴に気づかない可能性も多分にあります。野生動物の感染実態に関する論文が複数発表されれば、獣医学者や獣医師にも広く認識されるでしょうが、今はそういう状況に至っていないということです。
 犬連れ登山に重大な問題があるとする専門家が存在するのは、Tさんがピーマンうどんこ病を研究していた大学院生だった頃から現在に至るまで
専門家に広く共有される微生物に関する標準的な知見によるものではないので、最新の事情と現場を知っているはずがないTさんが反論するのはそもそも不可能なんですよ。そういう構図であることに京都大学大学院を出た方が気づいてもいない(爆笑)。

 議論とは何の関係もない京都大学大学院修了という学歴を鼻高々に自分から言ってくる割には、大した人物でもないことがモロバレですね。ディベート能力というのは、専門的な知識とは必ずしも関係しないってことを京都大学大学院修了の大変ご立派なTさん自ら証明してくださいました。

 Tさんは、会社経営とおっしゃっていますが、名前を検索しても企業サイトは一件もヒットしませんでした。ある程度の規模の企業であればトップだけでなく役員全員の名前をサイトに載せていますから、会社経営を自称されているのに名前がヒットしないのは不思議だなとは思いました。それ以上の勝手な想像はしませんが。


 




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犬連れ登山を考える

犬連れ登山者からのメール大公開! その1

京都大学大学院修了の54才(メール受信時)会社経営者、Tさんからのご意見