日本アウトドア犬協会は、こういっていました。「ワクチンを接種していれば、ほかの動物に病気をうつす可能性は限りなく小さい」と。それが正しいのであれば、なぜ宮崎の牛たちは、ワクチンを接種した上で殺処分する必要があるのでしょうか。ワクチン接種で問題は一気に解決。めでたしめでたしになるはずでは?


 また、日本アウトドア犬協会は、「ウィルス除去」なる方法があるようなこともいっていました。日本アウトドア犬協会会員のみなさんは、モタモタしている暇はありませんよ。今すぐに宮崎県庁に飛んで行きましょう。そして、東国原知事にこう進言してあげてください。


「東国原知事!! 牛の殺処分待ってください。殺さなくても大丈夫です。日本アウトドア犬協会には、ウィルス除去できる人がいますから口蹄疫のウィルスを完全除去してくれます!!」ってね(爆笑)。


 こんな低レベル団体の主張が正しく聞こえちゃったバカが、たくさんいらっしゃいました。いくらわかったような顔をして自然環境問題を論評しても説得力はありませんよ。せいぜい山の動植物名をいくらか覚えたくらいで自分は自然について理解していると思ってる人もゴマンといるようですけど、そんな素人に毛が生えた、というよりも毛すらも生えていない程度で、よくも自信たっぷりに論評できるもんです。それどころか、結構有名な雑誌や新聞までもこぞって彼らの意見を聞いて掲載していました。あれを見れば、マスコミですら日本アウトドア犬協会のウソを見抜けないレベルだということがモロバレです。
 でも、問題なのはそういう知識があるとかないとか、ではありません。マスコミ関係者であれば、日本アウトドア犬協会の主張が正しく聞こえたとしても、本当にそれが正しいのかきちんと検証しなければならないはずです。にもかかわらず、それを行わず中途半端な調査と自分の印象だけで記事を書いていたところが大問題なのであり、これは同時にマスコミの実態(普段からそれくらいのいい加減さで記事を書いている)までも見えてくるっていうくらいの話です。これは根の深い問題といえるでしょう。本来、調査が得意なはずのマスコミ関係者が、揃いも揃って「犬に大きな問題があるとは思えない」みたいな勝手な先入観に影響されたのかどうか知りませんが、こんなこと、プロに改めていわなきゃならないことですかねぇ。
 日本アウトドア犬協会の主張にも一理あるように取り上げた新聞記者や雑誌関係者は、今後は自然環境問題には手を出さないほうがいいですね。何もわかっていない上に自分の先入観を切り離して調査することすらできない、あなたに「テキトー記事」を書かれたら、みんな大迷惑なんです。かえって問題をややこしくして、自然環境にとっても害になりかねません。どっちにころんでも問題にならない無難なテーマで記事を書くのに留めておく方がいいんじゃないですか。あなたたちには、その方が合っています。


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口蹄疫問題を見れば、日本アウトドア犬協会の大ウソが、実によくわかる