<<前のページ | 次のページ>>
クロベやコメツガなどの針葉樹が得意とする
岩の上に生える木

…………………………………………………………………………………………………

 富士山北麓に広がる青木ヶ原樹海は、平安時代初期の貞観6(864)年に発生した貞観大噴火(じょうがんだいふんか)によって富士山から流れ出した溶岩が堆積した場所だが、約1160年の時を経て、今やうっそうとした森に覆われている。そんな変化が可能だったのは、岩の上でも成長できる木があるから。ただ、どんな樹種でも可能というわけではなく、岩の上も得意とする種類に限られる。青木ヶ原樹海の場合はツガやヒノキだが、志賀高原の溶岩台地ではクロベやコメツガ、八幡平の蓬莱境ではオオシラビソやコメツガが優占しており、いずれも広葉樹は少ない。こうした環境には針葉樹の方が合っているのだろう。

 各地を山を歩くと、そんな岩の上でも立派に成長し、太い根を地面におろしている木を見かける。例えば志賀高原の「たこ松」のように、岩の上と地面が離れているにも関わらず、実にアクロバットな成長を成し遂げている木もある。見るたびに思う。木って逞しい! 過去に撮影した「岩の上に生える木」を集めてみた。


関連情報→本サイト・植物記「ユニークな木の形




本文でも触れた志賀高原の信州大学志賀自然教育園にある「たこ松」。撮影2003年(下の写真も同じ)。



その「たこ松」解説板。「根を土にむかって伸ばしたものと考えられている」とある。



岩手県八幡平市の蓬莱境(ほうらいきょう)は、八幡平樹海ライン沿いにあり、八幡平火山の噴火で流れ出した溶岩が広がり、コメツガやオオシラビソなどの森になっている。一巡する遊歩道を歩けば、岩の上に生える木々があちこちにある。撮影2002年。以下2点も同様。



岩の上からのびる根には苔も付着。



1メートルくらいの段差は平気なようだ。



宮城県栗原市・栗駒山。表掛コースで見かけたクロベ。こちらは主幹よりも根の方が太いかも。撮影2002年。



屋久島・太忠岳で。複数の樹種が絡まっているが、細い幹はヤクシマシャクナゲと思われる。撮影2006年。



尾瀬・裏燧林道。これもクロベ。岩をまたぐように成長している。撮影2012年。



岐阜県高山市・位山の巨石群登山道。何本もの木が大きな岩の上で成長していた。天孫降臨伝説も残る霊山だけあって、登山道沿いには巨石群が点在。その多くが木とともにあった。撮影2018年。以下2点も同じ。



名前が付いた付いた巨岩も多い。これは八重雲岩と呼ばれる岩だが、やはり岩上で木が何本も成長していた。かなりの腐葉土が堆積していて、そこら根を張っているのだろうが、裏側から地面にも根を下しているかもしれない。ただ、岩の上なので台風などの強風があれば、簡単に剥ぎ取られる可能性もありそうだ。



巨岩の上に成長したチョウセンゴヨウ。最初は細い根をのばし、徐々に太くしたのだろう。



  
 CONTENTS 
 
   
 

Nature
植物記