Nature

File No.009
自作ポータブル赤道儀


 高校の時に自作したポータブル赤道儀。ポータブル赤道儀というのは、取り付けたカメラなどを星の動きに合わせて動かし、長時間露光によって星を点として撮影するための赤道儀を携帯しやすいようにポータブルにしたもの。天体望遠鏡メーカーも商品化しているが、自作する人も多い。私もそれを真似て作ってみたのだ。肝心のベアリングは、夏休みのある日、高校の天文地学部の友人と広島市にあるベアリング類の専門卸業者を訪ねて、軸とタンジェントスクリュー部分の計4個を購入した。
 一番困ったのが、最適のベアリングに合った径12ミリのパイプ素材が見つからなかったこと。10ミリや14ミリのパイプはあったのだが、12ミリのものはなかなか見つからなかった。ある日、ダイイチ(その後、デオデオを経て現在はエディオンという名前になった家電量販店)の本店地下にある電子パーツ売り場に立ち寄ってみると、偶然1本だけ12ミリのアルミパイプが販売されているのを発見。これによって、製作上の大きな問題がクリアになり、夏休みの1日か2日で完成させた。

 その懐かしの自作品を今日、屋根裏部屋を探して見つけ出した。改めて見てみると、我ながらよく作っていると感じたが、やはり所詮、高校生の工作だから、ガタもあるし、不十分な部分もいろいろと目につく。今、作.るとしたらもっと丁寧に作るのは間違いない。
 このポタ赤(ポータブル赤道儀の略)は、作ったものの一度も自分では使用しなかった。なぜなら、きちんとしたメーカー製のポタ赤も持っていたからで、試しにガイド撮影しようと思っているうちに天体写真から遠ざかってしまい、それ以来、お蔵入りになったままだった。そういえば天文地学部の合宿に貸してほしいといわれ、友人に貸したくらいだ。


【追記】本ページは、ポータブル赤道儀の紹介としては大した情報もないと思うが、なぜか「作る!」の中でもアクセスは多い。そこで2021年1月。久しぶりに再度、屋根裏部屋から出してきて、写真を追加した。左上の写真以外はすべて新しく追加した写真。




三脚に取り付けた自作ポータブル赤道儀。上のボードに星を追尾するための小型望遠鏡やカメラを取り付けて使用する。



高校・天文地学部の友人に貸した際に友人がガイド用の望遠鏡とカメラを取り付けて写真を撮ってくれた。その写真。そんなどうでもいい40年前の写真でさえ、未だにきちんと保管しているオレって、我ながらスゴイな(笑)。


L字状の部分は、カメラや望遠鏡を取り付けるボードをフリーにしたり固定したりするためクランプ。スリットを開けた木製部品をナットで締めたり緩めたりするわけだが、これもちゃんと機能した。ただ、タンジェントスクリュー部分の工作が不十分で、ガタがあるのは今ひとつ。


横から撮影。タンジェントスクリュー部分の構造が、少しわかるかな。タンジェントスクリューと軸をつなぐ部分の工作は、あんまり感心しないね。17才の自分。もっと丁寧に作らんか、コラ!!


写真には見えていないが、タンジェントスクリューの一部ナットが失われていた。一応、問題なく動くが、やはり現在の私から見ると、いろいろ改造したくなってくる。でも、まあ高校生の割には、よく作ってると思うよ。昔の自分を自分で褒めるのも変だが。ちなみに下部に写っている四角い部分は、雲台に固定するための1/4インチネジを取り付けるためのもの。具体的な工作方法は、もう忘れたが、たぶん、板に六角形の穴を手彫りして、1/4インチナットを埋め込み、金属板で外れないようにしたと思う。久しぶりに三脚に取り付けてみたが、ちゃんとしっかり固定できた。


今も所有する高橋製作所のポタ赤。持ち運びやすいようにショルダーバックも付属していたが、それはとっくの昔に破棄してしまった。使うことはないが、40年くらいたっているのに光学系は健在。本体も極軸望遠鏡もカビ等の問題は発生していない。高橋製作所のサイトでは、当時のカタログを閲覧できる。




 
 
 

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