Nature
 File No.0057
全長20メートルの柵


 我が家の前はブロック擁壁になっているが、ずっと柵がなかった。擁壁の縁には、普段そう頻繁に行くこともないが、それでも万一落ちたら最悪、命の危険もあり、父もずっと気にしていて、十数年前に柵を作ろうということになった。東側は父がひとりで作り、西側は父と一緒に作った区間もあるのだが、残りは20メートル以上もあり、おいそれとはいかなかった。しかも未施工区間は擁壁のコンクリートですでに固定されており、ここに柵の支柱をどんな方法で取り付けるかとなると結構悩ましい問題でもあった。

 介護保険援助による手すり工事の時、業者に支柱の穴を開けるのにどれくらい費用がかかるか聞くと1ヶ所につき3000〜4000円、18ヶ所開けるとすると6万円くらいだという。径6センチほどの穴でも水圧で開けることはできるそうで、ペンキ塗装した肉厚の塩ビパイプとか、穴に差し込んで支柱にすれば、しっかりしたものになりそうだ。

 そんな施工方法も検討したものの、結局、アンカーボルト+支柱金具方式で柵を作ることにした。アマゾンにあった支柱金具を購入。また普段よく行くホームセンターでたまたま2センチ角の角材束が出ていたので、これを購入して縦材に利用することにした。

 柵の未施工区間の全長にほぼピッタリとなるように1区画の幅を決めて、柵を1区画ずつ作ったが、柵の縦材は計260本も切り出す必要があり、全部で13区画分の横材と縦材を取り付けるのは、かなりの時間を要した。すべて組んでから油性防腐塗料を下塗りした上で、油性ペンキで仕上げる。同様に支柱も作り、すべての部材が揃ってから端から1区画ずつ設置していった。

 最初に端から端まで水糸を張って設置基準にしたが、一見しただけでは水平に見える擁壁上部のコンクリートも、微妙な高低差や傾きのムラがあり、支柱金具自体も水平になるように調整する必要があり(私はアンカーボルトと金具の間にステンレスワッシャを挟む方法で解決した)、金具に支柱を取り付ける際も前後左右が垂直になるように繰り返し確認する必要が生じた。その際は昔ながらの水平器のほか、スマホアプリの傾斜計も使った。

 結局、20メートルもの柵であるにも関わらず、総製作費はわずか5万円ですんだ。業者に既製品の柵を付けてもらったら、数十万円になったと思うので、まあ作って正解かな。自分ですべてゼロから作るのは、とにかく手間がかかるけどね。




完成したブロック擁壁上部の柵。1本の支柱は4本のアンカーボルトで固定されているので、結構がっしりしている。



切り出した柵の縦材。近所の大型ホームセンターには、いろいろな角材束が販売されているが、2センチ角のものは滅多にない。それがたまたま山になっていたので、柵の縦材にちょうどいいと飛びついた。このときはまだスライド丸鋸を買ってなかったので、260本すべて普通のノコギリで切り出した。こういう作業をする時は基準縦材を1本決めておくといい。それにピッタリ合わせて切っていくと、全体を通して寸法がきれいに揃う。右は支柱の材。



横材に縦材を固定しているところ。両端には支柱を置いて、それに合わせてから取り付けていく。縦材には二段穴を開けて木ねじで固定。このあと穴はパテで埋める。



9区画ほどできたところ。



防腐塗料を二度塗りする。仕上げは白ペンキなので、クリアの防腐塗料でもよいが、ブラウンの防腐塗料だと、塗り残し箇所がわかりやすいというメリットがある。ちなみに両端の区画だけ構造が異なっている。



1区画ずつ杭に仮固定して、仕上げ塗装をする。



支柱に横材が入る掘り込みを作る。こういう時、普通は鑿(のみ)を使うと思うが、私はノコギリで切り込みを入れてから中心突起を取り除いたボアビットで掘り込む。その方が早い。



支柱に防腐塗料を塗る



アマゾンで買った支柱金具は、黒の焼き付け塗装なので、その上から油性白ペンキを塗った。写真は金具を裏返したところ。



アンカーボルトを埋め込む穴を開けているところ。チャイナ製のハンマードリルは日本製より安価だが、普通に使える。金具の穴の位置に合わせたガイドボードをブロックでしっかり固定してからハンマードリルで穿孔する。ダンボールは破片飛散防止対策。



末端支柱付近だけコンクリートが傾斜していたので、モルタルで水平に補正した。



 


















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